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2016-03-24 00:00
仮想通貨問題
倉西 雅子
政治学者
先日、金融庁が、仮想通貨を公的に貨幣と認める方針を示したことから、俄かにこの問題が関心を集めるようになりました。仮想通貨については、論じるべき問題が多々残されております。その一つが、ビットコイン型の仮想通貨と、今日、企業の多くが採用しているポイント制との違いです。
この議論において法規制に賛成する意見の多くは、既に交換機能を有するポイント制が存在しているのであるから、仮想通貨の公的認定は追認に過ぎないというものです。しかしながら、ビットコイン型の仮想通貨とポイント制との間には、著しい違いがあるように思えます。まず、ポイント制は、その国の通貨、即ち、日本であるならば日本円と不可分に結びついており、いわば、円の“派生通貨”です。このため、相場が固定されており、その信用は、最終的には国によって支えられています。一方、ビットコイン型の仮想通貨は、特定の国の通貨の“派生通貨”ではなく、如何なる国の通貨からも独立しています。
見方によれば、今日の通貨制度の盲点を突いたシステムであり、仮に、特定の国の通貨と同一名で同様のシステムを運営すれば、間違いなく、通貨偽造罪として法的な処罰を受けたことでしょう。しかしながら、“ビットコイン”という名称を付け、その新奇性を全面的に打ち出したことで、各国の法規制の網をかいくぐることができたのです。このため、ビットコイン型の通貨と国が発行する通貨との公的な交換性を保障しますと、何らの信頼性の裏付けのない、まさしく“仮想”、あるいは、“偽”の通貨に対して、後から国が通用力、信用力を与える構図となります。この構図は、ポイント制とは逆方向です。
ビットコイン型仮想通貨とポイント制とを混同することは、通貨の信頼性を損ない、経済犯罪が蔓延る元凶ともなりかねません。金融庁の規制案では、仮想通貨に対して、強制通用力を与えるわけではないそうですが、両者は、区別して扱うべきではないかと思うのです。
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