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2016-03-22 00:00
(連載1)高浜原発運転差止め仮処分決定について
加藤 成一
元弁護士
3月9日、大津地方裁判所は、関西電力高浜原発3号機、4号機の運転を差止める仮処分決定を行った。裁判所による稼働中の原発の運転差止めは初めてのことである。以下、本件差止め決定の法的評価について考えてみたい。本件差止め決定の重要なポイントは二つある。
第一は、東京電力福島原発事故の原因究明が十分にされていない状況下で定められた、過酷事故対策に関する「新規制基準」の安全性には不安があり、その基準に適合しても安全性は担保されない、という裁判所の判断が相当かどうかである。第二は、現に稼働中の原発に対して、今直ちに仮処分によって運転差止めをしなければならないほどの,急迫した具体的危険性があったかどうかである。
第一の点について。いまだ事故原因調査が究明されていないと言うが、政府、国会、民間、東電による各事故原因調査の結果によれば、福島原発事故の直接的原因が、広範囲に及ぶ巨大地震と、地震に誘発された巨大津波であったこと、地震で原子炉は緊急停止したが、主として巨大津波による全電源喪失によって炉心溶融や水素爆発が起こったこと、これにともない大量の放射性物質が放出されたこと、などの点は明らかであろう。地震の規模や津波の大きさも確定されている。そのため、原子力規制委員会は、福島原発事故の反省と教訓を踏まえて、新たな巨大地震、巨大津波対策等を補強し、アメリカ、フランスをはじめ欧米先進諸国の知見を含め、原発に関する世界最先端の科学的技術的知見に基づき、厳格な「新規制基準」を策定したのである。
それでも、裁判所が、「新規制基準」では安全性が担保されないといと言うならば、それに代わる裁判所としての有効かつ明確な「規制基準」を示すべきであろう。そうでないと、全国各地の数多くの「原発訴訟」において、個々の裁判所や個々の裁判官による個々の判断によって、バラバラの正反対の結論がしばしばもたらされ、電力会社としては、遵守すべき規制基準そのものが不明確となり、「予見可能性」や「法的安定性」を著しく阻害することになるからである。このことは、国全体のエネルギー政策にも重大な影響を与えるであろう。(つづく)
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