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2016-02-25 00:00
(連載2)北欧も苦悩する移民・難民問題
児玉 克哉
社会貢献推進機構理事長
歴史的に振り返れば、1960年代~70年代はヨーロッパ以外からの難民・移民は少なかったのです。難民は「民主主義」を母国で実践する代償としてやってきた人で、珍しく、ちょっとかっこいいという感じがあったといいます。北欧の若者にはアフリカからやってきた黒人などは「ブラック イズ ビューティフル」の感覚だったといいます。
80年代に入るとだんだんと状況が変わります。移民・難民が増えてきて、理性的には受け入れなければ、と思いながらも、拒否する感情が大きくなったようです。興味深かったのは、移民・難民の受け入れに関する決定では、記名投票か無記名投票かで大きく結果が異なるということでした。 記名投票や挙手による決定では、移民・難民の受け入れは「推進すべき」になり、無記名投票では「受け入れるべきでない」になるのです。もうすでに、頭ではわかるものの、心はついていけないという状態になっていたようです。90年代以降ではさらに移民・難民は増え、小さな暴動も起きる状態になります。時期によっては収まり、時期によってはまた盛り上がる、という感じでした。しかし北欧は理性の国。なんとか優等生を演じてきました。
しかし最近は、増え続ける移民・難民に相当な拒否感がでてきたようです。デンマークやスウェーデンは移民・難民の入国審査の厳格化に踏み切りました。デンマークの議会は、難民の流入を抑制するため、難民申請をした人から一定の金額を超える現金などを徴収し、保護費に充てるとする法案を賛成多数で可決しました。スウェーデンは、2015年に同国に到着した移民のうち、難民申請が却下された6万~8万人を国外退去処分とする方針を発表しました。以前では躊躇した移民・難民に厳しい政策をどんどんと突きつけるようになりました。
こうした北欧のケースが示すように移民・難民の問題の難しさは制度の問題だけではないということです。心の問題が重要なのです。いかに文化摩擦などを最小限にして、交流を深めるか。本当に難問です。日本ではまだ移民・難民の数は少ないものです。しかしそれでもすでに多くの問題を抱えています。結局は人と人との交流と触れ合いという人間社会の原点が大切なようです。そうした社会をどう作れるのか。北欧にとっても日本にとっても大きな課題です。(おわり)
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