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2016-02-15 00:00
対米外交こそ強化を
倉西 雅子
政治学者
日米同盟が締結されて以来、アメリカは、日本国にとりまして、厚い信頼を寄せる友好国であり、日米関係は盤石であると信じられてきました。同盟強化を目指して、自衛隊と米軍との協力関係も深化してきたのです。しかしながら、先日、偶然に明るみに出た尖閣諸島国有化の経緯からしますと、日本国政府が、最も手薄な状態としてきた外国相手国はアメリカではなかったのか、という疑いがもたげます。
尖閣諸島の国有化を前にして、当時の米国務次官補であったキャンベル氏は、中国との事前協議を日本国に勧めたとされています。結局、日本国政府は、米側の要請に応じることなく国有化に踏み切るのですが、事前協議による“領土問題化”のリスクを考慮しますと、この事実は、日本国政府が、尖閣諸島について十分に日本国の立場をアメリカに説明しておらず、また、理解を求めることも怠ってきたことを示しています。
その一方で、アメリカ側もまた、日本国に対して自国の政策の詳細を語っているわけではなく、ピルズベリー氏の『China 2049』によれば、水面下での米中間協力については、日本国は全くもって“蚊帳の外”にあったそうです。海洋等における拡張主義的な行動を受けて、今日では、アメリカも中国に対する警戒心を強めておりますが、2012年当時のアメリカは、現在よりも中国に対して宥和的であり、尖閣諸島についても、日米安保の適用が不安視されていました。尖閣諸島に関するキャンベル氏の先の要請も、このようなアメリカ側の対中政策が影響していた可能性もあるのです。
このように考えますと、日本国政府が、日米同盟の上に胡坐をかき、対米外交を疎かにしてきたことが、2012年の尖閣諸島領土問題化の危機を招いたとも言えます。日米同盟の存在が、逆に日米関係を疎遠にしてきたとしますと、これはまさしくパラドクスです。日本国政府は、半世紀以上にわたる空白を埋めるべく、今こそ、対米外交を強化すべきなのではないでしょうか。
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