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2015-12-18 00:00
(連載2)外交・安保論議における「二者択一」という悪弊
芹沢 健
会社員
また、憲法9条の議論とも関連するが、戦後70年、我が国の平和を支えてきたものは何か、との問いに対する答えにも、この悪弊がつきまとっているような感がある。すなわち、この問いに対する最も簡潔にして明快な答えは、「日米同盟と自衛隊の二本柱」であると思うが、これに対しては、一方で、日米同盟重視は対米従属だ、という意見があるかと思えば、他方で、そのどちらも否定するような空理空論もあり、やはり、二者択一の弊害が示されているように思われる。「純粋理論的には、自衛隊の独力による自国の防衛を志向するということも考えられなくもないが、東アジアの国際環境やこれまでの歴史的経緯を総合的に勘案すれば、自主防衛に徹することは戦略的に懸命とはいえず、独力では守り切れない部分については、同盟で補完すべきである」という、二者択一ではない総合判断に基づく議論が必要ではないだろうか。
すなわち、「あれかこれか」という二者択一の議論には、そもそも複数の判断材料をもとに総合的に勘案するという戦略性が決定的に欠如しているのであって、戦争か平和か、ハード・パワーかソフト・パワーかなどと、結論ありきの議論が展開されているのである。けだし、戦争と平和は二者択一の対概念ではなく、平和は戦争の抑止であり、そのための方法を議論しなければならない。そして、その方法は、ハード・パワーのみならず、ソフト・パワーもあり、そのどちら一方というわけではないのである。
また、二者択一の議論では、概して短期的な視点のみが重視され、中長期的な視点の欠如がみられるようにも思われる。例えば、空爆によってテロを根絶することはできず、報復テロ拡散の恐れもあるとの意見がある。短期的にみればその懸念もわかる。しかし、長期的には、空爆によってテロ組織の拠点を確実に破壊することは、テロ組織本体の弱体化につながり、テロ根絶への強力な一打となることは間違いない。
話は対テロ戦争に限らない。例えば、TPP問題、中国人民元のSDR化、米国大統領選など、あらゆるトピックに対して、結論ありきの二者択一ではなく、複数の判断材料をもとに、総合的に勘案する戦略性をもって、捉えていきたいものである。(おわり)
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