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2007-02-13 00:00
連載投稿(2)沖縄と米軍再編問題
木下 博生
日米・文化交流協会理事
沖縄の施政権が返還された70年代は、米ソ冷戦下にあり、日本の安全を脅かすのは北方のソ連だと考えられていた。従って、北海道が安全保障の拠点として重視された。今はそれが変わり、中東から北東アジアに至る不安定の弧の東端――言い換えれば朝鮮半島と台湾海峡――にいちばん近いのが沖縄列島ということとなり、それだけ沖縄県の地政学的な重要性が高まってきている。
米軍の再編問題が、ちょうどこの時期に取り上げられることとなった。米国防省は、世界各地で起こる紛争に機動的に対処するには、今までのように米軍部隊を各地に分散して配備するよりは、重要拠点に部隊を集中させ、一旦緩急ある時には、そこから空輸、派遣するほうがベターだという考えに変わったのである。海兵隊のグアムへの集中も、その一環だと考えられる。私は、個人的には沖縄の地理的重要性が高まっていると思うが、米軍としては、グアムの方が東アジア全体をにらむ位置にあると考えたのであろう。
普天間基地の名護への移転問題は全く別次元の話として、沖縄にあるその他の海兵隊部隊のグアムへの移駐は、沖縄の負担軽減という趣旨が全くないとは言えないにしても、基本的には、以上述べた米国防省の方針に沿ったものではないだろうか。そうだとするなら、グアムへの移駐費用の多くを日本政府が負担することの正当性は、説明するのがなかなか難しい。
一部の人達からは叱られるかもしれないが、家族を含めて2万人近くの海兵隊員がグアムに移るということは、純粋に経済的に見て、沖縄県へ影響するところが大きい。基地で働いている県民にとっては、雇用の場が失われることにもなりかねない。
さきに述べたように、沖縄の地政学的意味を考えると、米国防省から海兵隊のグアムへの一部移駐が提起された時に、「日本側としては、普天間の移転を除き、他の海兵隊はそのまま残っても構わないのだ」と、主張できていたならば、多額の移駐費用を負担しないで済んだだろうし、その予算を沖縄県の振興に振り向けることもできたであろう。その方が、沖縄県民のためにもなったのではないだろうか。(おわり)
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