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2015-12-03 00:00
(連載2)対テロ戦争再考
芹沢 健
会社員
他方で、このような誤爆や米軍による「対テロ戦争」としての攻撃が新たな憎悪を生み、それがさらなるテロを招くといった「報復の連鎖」の発生は如何ともし難い現実である。テロを熱病に例えると、対テロ戦争による軍事施設や戦略的拠点の破壊あるいはテロリストへの法執行といった対応は、いわば外科的手法と称されるものであるが、これらは対症療法にすぎず、熱病のそもそもの病因たるウィルス、すなわちテロの温床となるような劣悪な政治的・社会的環境の改善といった内科的手法も、外科的手法に加えて実行していかなければ、テロの根本的な解決には至らないのではないか。
現在、欧米にロシアをくわえた、まさに国際社会全体が「対IS」という共通の目標の下で連携を見せているが、そのこと自体は、健全な動きであるとはいえる。ただし、「対IS」を掲げる国際社会が、上記のような外科的手法のみに目を奪われ、長期的な内科的手法をないがしろにするのであれば、たとえ、「IS」を殲滅したとしても、あらたな同様の勢力の台頭を招くだけではないだろうか。
それは、同地域をめぐり繰り広げられる21世紀のグレート・ゲームのプレリュードではないかとも懸念される。そのプレリュードをそのまま終わりにすることができるのか、フーガとして新たな旋律を奏でてしまうのか。現在のところ直接の当事国となっていない日本こそがタクトを握っているのではないだろうか。
すなわち、我が国には、「人間の安全保障」分野においてこれまで培ってきた経験と用意がある。今こそ、同地域への内科的手法を国際社会に先駆けて堂々と実行していくべきであろう。それも「積極的平和主義」に基づく「地球儀俯瞰外交」の一つの在り方ではないだろうか。(おわり)
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