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2015-12-02 00:00
日本の防衛生産・技術基盤を守れ
佐藤 正久
参議院議員(自由民主党)
10月1日に発足した防衛装備庁は、防衛関連企業が持っている独自技術や経営状況を集め、データベース化する方針を固めました。データベース化することで、重要な防衛関連技術を持つ企業を把握し、育成や企業間連携に役立てます。
実は日本は、長らく、国内の防衛関連企業の実態を把握せずにきました。このことは防衛省が平成22度になってはじめて防衛産業の調査分析等を行う専従班を設置したころからも分かります。それだけではなく、日本は長きにわたり防衛産業に関する産業戦略すらも策定してきませんでした。こうした状況もあり、平成15年以降、国防の根幹を担う防衛産業から事業撤退・倒産などした企業数は100社以上にのぼります。防衛装備庁がデータベースを作成することで防衛関連企業が有する技術などを整理できることは、企業への支援、技術の育成、装備品等の海外移転の推進という観点からも望ましい進展と言えます。ただし、データベースを作るだけでは、根本的な問題は解決しません。
日本の防衛産業における最大の問題点は、マーケットを事実上防衛予算に依存していることです。つまり、防衛予算の増減が、企業の収益に直結するのです。一方、昨今の厳しい財政状況を鑑みれば、大幅な防衛予算の増加は見込まれません。そうした中、オスプレイやF-35など、外国製の装備品を購入する予算が膨らみ、国内製の装備品等に割り当てられる予算が圧迫されています。つまり、“マーケット”に縮小圧力がかかっているのです。日本の防衛関連企業は、国営企業ではなく、あくまで「民間企業」。企業存続のためには、ある程度の利潤が必要です。防衛省などが防衛関連企業の維持・育成をすることは当然のことです。しかし、何より大切なことは国内の防衛関連企業側が、熟練工を雇用でき、必要な技術研究・開発を継続できる利潤を確保できるマーケットを維持・拡大させる努力を国が率先して行うことです。国内市場の拡大に限りがある中、マーケットを拡大するためには、海外市場にアクセスする必要があります。しかし、そこにはリスクも伴います。国として、投資や税制、保険において必要な配慮をすることが必要です。
こうして見ると、日本の防衛産業の維持・育成にとって今、最も求められていることは、実は、「戦略」や「ビジョン」などといった格好のいいものではなく、マーケットを拡大しようとする「意志」と、「具体的な取組」と言えます。防衛生産・技術基盤なくして国は守れません。日本を守るために、防衛生産・技術基盤を育む必要があります。佐藤はそのために、これからも汗をかいていきます。
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