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2015-12-01 00:00
米露の存在が重みを増すG20
川上 高司
拓殖大学教授
11月13日のパリ同時多発テロを受けて15日から始まったトルコでのG20は、全くこれまでと様相が変わった。本来経済問題を話し合う場だったが、今回はシリア問題とテロ問題に集中していた。
G20会議よりも世界が注目していたのはオバマ大統領とプーチン大統領の米露会談である。1時間30分に及ぶ会議は双方とも真剣そのものだが、9月の米露会議よりは和んだ雰囲気だったという。ISISによるテロの脅威がより切迫しており、米露の共通の「敵」として利害がみごとに一致したからだろう。パリでのテロ、レバノンのテロ、ロシア民間航空機墜落はいずれも多大な犠牲を出し、ISISによるシリアでの軍事行動への報復であることは明白だ。もはやISISのテロはグローバルに拡大する段階に入ったとも言える。アメリカも安穏とはしていられない。オバマ大統領もようやく重い腰を上げたようである。
今回の米露会談では政治的解決を急ぐことで一致しその調停は国連が担うとの結論を出した。ロシアがウイーンでのシリア会議で提案した「1年半以内の選挙」も現実味を帯びる。ドイツのメルケル首相もEU代表もヨーロッパの難民政策は変えるべきでないとの見解を表明した。押し寄せる難民に国境を封鎖する国もあり「国境なきEUは1つ」というEUの理念が根底から揺さぶられていた。今回のテロを受けてその国境封鎖が加速すればEUそのものも崩壊しかねない。それを危惧したメルケル首相やEU代表が釘を刺したのだろうが、現実の脅威を目の前にしてその理想も揺れている。
米露関係の悪化でシリア内戦の解決が遠のいていたが、パリ同時多発テロによって逆に米露が接近し政治的解決を模索し始めた。冷徹な現実主義者のオバマとプーチンだからこそできる180度の転換であり、やはりシリア問題の鍵は米露関係にある。
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