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2015-11-24 00:00
(連載1)ヨーロッパにはテロ発生要因が揃っている:三つ巴の昏迷
倉西 雅子
政治学者
今月13日の晩、パリで発生した無差別テロ事件は、容疑者がシリア難民であることを示唆する旅券が発見されたことから、ヨーロッパを震撼させる事態に至っております。メルケル首相の発言を契機にヨーロッパ諸国は大量の難民を受け入れていますが、ISILは、既に難民に自らのメンバーを紛れ込ませたと宣言しているからです。
“テロ事件が頻発しやすい要因とは何か”という問題を設定してみますと、現在のヨーロッパを悲観せざるを得ません。何故ならば、現代のヨーロッパの状況を分析してみますと、テロが発生しやすい要因が揃っているとしか言いようがないからです。
第一の要因は、テロリストの内部化です。フランスの人口の約1割が移民系住民と言われるように、ヨーロッパでは、長年にわたって継続してきた移民政策により、既に、多数の移民が居住しています。その全てがテロリストではないものの、居住国に反感を持つ、あるいは、敵視している国を出身国とする移民をも受け入れていますので、一定数のテロリストを抱え込んでいると推測されます。
第二の要因は、テロリストの組織化です。移民が個人として入国し、一般市民として個人に徹して生活する限り、テロの脅威は大幅に低下します。しかしながら、集団で移民した場合や居住国内で組織が結成されている場合には、武器や資金の供給網が形成されると共に、組織的な活動が可能となりますので、今般の事件のように、計画的、かつ、大規模なテロ事件に繋がります。こうしたテロ組織が、本国のテロ集団に帰属している場合には、本部からの指令によって、移民の居住国がテロ攻撃を受ける危険性はさらに高まります。(つづく)
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