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2015-11-09 00:00
南シナ海「航行の自由作戦」:法の支配の分水嶺か
倉西 雅子
政治学者
南シナ海で進められていた中国の人工島建設は、中国側が、12カイリの領海の設定を宣言したことから抜き差しならぬ状況に至っております。アメリカは、遂に重い腰を上げ、「航行の自由作戦」を遂行する決断を下したと伝わります。
南シナ海での中国による人工島建設は、国際法違反のオンパレードです。係争海域において一方的に埋め立て作業を強行したこと、軍事的な目的の施設を建設したこと、そして人工島に領海を設定したことなど、どれもが重大な違反ばかりです。そこでアメリカが立案した作戦とは、中国を試すかのように、中国が主張する人工島の“領海”に艦船を航行させるというものです。
国際法上、原則として、領海でも無害通航は許されていますが、中国は、領海法を制定しているため、外国船舶が中国の領海内を通航するには中国当局に対する事前通告が必要です。当然、アメリカは、この海域を中国の“領海”とは認めていませんので、事前通告なしで艦船を航行させることになりましょう。ここで中国は、あくまでも自国の“領海”と主張するならば、米艦船に対して領海法を適用し、警告や強制退去といった措置をとらざるを得ません。仮に、米艦船の自由な航行を黙認するとなりますと、中国は、自らの“領海”ではないことを認めたことになるからです。それでは、中国が、米艦船に対して領海法を執行しようとした場合、何が起きるでしょうか。「航行の自由作戦」と名付けている以上、アメリカ側は、決して、中国側の指示・命令に従うはずはありません。米中間に軍事衝突が発生するとしますと、まさにこの時であり、それは、米艦船に対する中国の出方にかかっているのです。
国際法違反の行為を黙認することは、法秩序の根本的な崩壊を意味しますので、手段を尽くして阻止する以外に、海洋における法の支配を救う道はありません。アメリカの「航行の自由作戦」は、海洋における法の支配の分水嶺であり、それ故に、日本国は、アメリカを全面的に支持すると共に、最大限の支援を行うべきです。アメリカは、やはり、“世界の警察官”なのではないかと思うのです。
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