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2015-10-26 00:00
観光振興と東京五輪のミスマッチ:伝統文化と多文化融合
倉西 雅子
政治学者
数年前、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの誘致に際し、日本国側が制作したプロモーション・ビデオでは、東京ならではの魅力として、多文化融合都市としての側面をアピールしていたと記憶しています。紹介や説明がなければ、どこの国のプロモーション・ビデオであるのか分からなかったことでしょう。
その一方で、今日、日本国政府、並びに、各地方自治体は、訪日客を増やすべく観光振興に力を入れています。オリンピックの開催もまた、外国人観光客誘致のチャンスと捉えており、報道によりますと、「日本の美」を海外発信するために、首相直轄の有識者会議も設けられるそうです。実のところ、上述した2020年の東京オリンピックの基本コンセプトと観光振興が目指す方向性は、正反対を向いており、ミスマッチが見られます。果たして、東京オリンピックは、どちらの方向に向うのでしょうか。
仮に、東京オリンピックを観光と結びつけ、長期的な効果を期待するならば、後者の方が望ましいと言えます。何故ならば、多文化融合都市とイメージされた場合、異文化との触れ合いを求める外国人やリピーターの訪日を期待することはできないからです。実際に、外国人観光客の人気観光地は、日本の伝統や文化を色濃く残こすところであり、“日本らしさ”こそが他に代えがたい魅力となっています。奈良、京都、鎌倉といった古都の他にも、ミシュランで二つ星や三つ星を獲得している観光地も少なくなく、先日、三つ星に認定されている高尾山を訪れた際には、外国人観光客の多さに驚かされました。高尾山は、古来、修験者が修行してきた信仰の山でもあります。日本独自の精神文化を体感できる場所も外国人を惹きつけており、こうした現象は、高野山などにも見られるそうです。
白紙撤回されたエンブレムも、“日本らしさ”や“東京らしさ”が皆無ということで日本国民からすこぶる不評でしたが、日本独自の伝統や美意識の継承こそ、実のところ、人類の豊かな文化的多様性を護ることでもあります。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、他の開催国もそうあるように、日本の伝統文化重視にシフトする方が、観光振興の面からも良いのではないかと思うのです。
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