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2015-10-19 00:00
インドネシア高速鉄道の顛末から見るAIIBの行くへ
倉西 雅子
政治学者
インドネシア政府が、一旦、白紙撤回した高速鉄道計画を復活させ、中国への発注を決めた件について、激しい受注合戦を繰り広げてきただけに、日本国内では失望感が広がっています。中国が”資金力”に物を言わせて受注をもぎ取ったようなものですから。
ところで、中国受注の決定要因は、インドネシア側の資金面における”過酷な条件”を中国側が受け入れたことにあります。政府保証なき無担保融資は破格の条件ですし、融資条件以外にも、技術移転や現地工場の建設にも合意したとも伝わります。いわば、中国からの”プレゼント”に近く、”もはや競争入札ではない”とする批判にも頷けます。当プランの開業後の採算性にも疑問符が付けられておりましたので、中国側のメリットは殆ど見当たらないのですが、”過酷な条件”を飲んでまで受注した背景には、中国の政治的な思惑があったと指摘されております。
19世紀的な世界観にあっては、相手国からの鉄道敷設権の取得は、現地における勢力拡大の重要な手段の一つでした。今日、中国は、ユーラシア大陸全域を射程に入れた”一帯一路戦略”を遂行しており、中国メディアでも、インドネシア高速鉄道計画受注を、東南アジアにおける当戦略の一環であると説明しています。つまり、経済よりも政治を優先したのであり、自国の勢力圏をインドネシアまで拡大できるとすれば、たとえ高速鉄道の融資が焦げ付き、不良債権化しても、中国にとりましては”安い買い物”なのです。
中国の基本的なインフラ融資の姿勢が覇権の追求であるとしますと、ここから推測できることは、AIIBもまた中国の国策に従属し、採算性無視の赤字体質となるか、あるいは、中国の自国単独融資優先により形骸化してしまうことです。何れにしましても、AIIBの将来には明るい展望が描き難いのです。
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