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2015-10-15 00:00
(連載1)TPP大筋合意について:自動車を中心に
緒方林太郎
衆議院議員(民主党)
TPPが大筋合意しそうです。まだ、内容ははっきりとしていませんので論評しにくいですが、断片的に自動車を中心に思ったことを書いておきます。まず、大筋合意ですが、英語で何と呼ぶのかということでして、「framework agreement」なのかと思っていたら、「agreement in principle」ということだそうです。イメージ的には「framework」よりも更に詳細度が低いのではないかという印象です。どの程度の内容の濃さなのかは、出てきたものを見てみないと分かりませんけど、実は結構厄介なのがこの手の合意をした後の詳細の詰めです。
具体的に細部に落としていく作業、例えば、関税の譲許表、サービスの約束表などはとてもテクニカルでして、作業はまだ残っていると思います。ここで変な押し込まれ方をすると、損をしてしまう事があります。大筋合意したからと言って、安穏としていいわけではありません。ところで、自動車について、世の報道をすべて見たわけではありませんが、ちょっと日本の報道は薄いのではないかと思う事がありました。今、思い付くものでも2点あります。
(1)つまり、アメリカを始めとするNAFTAは何を企図していたのか。簡単に言うと、「自動車本体の生産はうちがやる。日本は部品供給国になってほしい。」という意図が透けて見えてきます。考えなくてはならないのは、以下の点です。(i)自動車の関税はすぐには下がらない。(ii)その一方で、自動車部品についてはかなり早く関税が下がる。(iii)しかも、原産地規則で高い価値基準を設けるよう求めてきた。この3つを重ね合せると、見えてくるのは「巨大市場のアメリカに自動車を供給するのはうちだ。日本はそのための部品を輸出してくれればそれでいい。」ということです。例えば、メキシコからすると、NAFTA並みの原産地規則(価値基準で62.5%)を高く設定することで、アメリカへの輸出で有利に立っていたのを、日本に水準の低い原産地規則を認めると、日本からの輸出に押し出されてしまう、という危惧を持っていたでしょうし、同様の危惧はアメリカの自動車産業も持っていたでしょう。
日本では「自動車の関税はすぐにはゼロにならないけど、部品は早くゼロになりそうです。」というのをポジティブに論評している所が多いですが、もう少し踏み込んで「この状態だと、部品輸出ばかりがNAFTAに進む一方で、自動車輸出が伸びない。」ということになるという懸念にくらいは気付くべきではないかと思いました。(つづく)
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