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2015-10-14 00:00
(連載1)中国、資本逃避で「爆買い」中止命令も
田村 秀男
ジャーナリスト
上海株の暴落、人民元の切り下げ、景気の悪化でも、中国人の海外「爆買い」ブームは相変わらずだ。10月1日から1週間の国慶節休暇期間、東京・銀座などはやはり大型旅行ケースを引っ張る買い物客でにぎわったそうだ。東京の中国人団体専門の旅行代理業者は、「上海株? 影響は全くない。とにかく食事をする時間もないほど忙しい」とうれしい悲鳴を上げている。
北京や上海で売られるブランド品の値段は東京などの2倍近い。8月11日には元をドルに対して切り下げたが、その幅は4%台に過ぎない。しかも、外国為替市場での対円レートは1元=20円で変わらない。元預金をそのまま使える銀聯カードさえ持っていけば、銀座で手軽に買い物ができる。
実は、中国の預金量は今年初め以来、増加が加速している。預金残高から貸し出し残高を差し引いた余剰貯蓄の円換算額は、7月時点で838兆円と、日本の216兆円の4倍近い。正常に景気が回転している場合、預金は貸し出しと連動する。預金が増えれば銀行は貸し出しを増やし、貸し出されたカネは預金となって還流するからである。ところが、中国では貸し出しの伸び率を上回る速度で預金が増えている。すさまじいばかりの「カネ余り」が、爆買いを支える。爆買いブームはいつまでも続くだろうか。鍵になるのは、やはり元相場と景気動向である。
習近平政権は過剰生産と需要不足からくる景気低迷対策のために、預金金利を下げ、元安誘導を試みたが、資本逃避が加速し、銀行間で資金を相互融通する短期金融市場では資金が不足する始末である。中国人民銀行はあわてて人民元押し上げ介入に出動、元高水準の維持に躍起となっている。(つづく)
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