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2015-10-03 00:00
(連載1)福澤諭吉の『文明論之概略』に寄せて
池尾 愛子
早稲田大学教授
9月26日にe-論壇で「天野為之と福澤諭吉」と題して、福澤諭吉の『文明論之概略』(1875年)を少し論じた。福澤が同書を執筆するにあたって、大いに参考にしたのは、フランスの政治家・歴史家フランソワ・ギゾー(1787―1874) の『ヨーロッパ文明史』(1828年)のアメリカで発行された英訳版である。
しかし、戸沢行夫の『福沢諭吉著作集』第4巻解説に同書執筆過程が詳しく紹介されているように、福澤は同書だけに頼ったわけではなく、多くの書物を読みこなしている。イギリスの思想家・経済学者のジョン・スチュアート・ミル(1806-1873)の著作(自由論、代議制論)もしばしば参照されている。
福澤が『文明論之概略』で宗教論を大いに展開したのは、西洋文明がキリスト教に深く根差していることを日本人に伝えるためである。そして、福澤は西洋文明のうち、あえて宗教から切り離せる部分も明らかにしたといえる。発明(技術や技術進歩)、応用科学、実業や国際貿易のあたりである。
経済学者の天野為之はといえば、このあたりの議論を参照して、「西洋文明のうち、宗教から切り離せる部分」を『報徳記』(1883年)等と照合しながら、報徳思想に根付かせて、さらに明治期の経済や制度を考察していったといえる。もっとも、天野はこの種の議論では福澤を参考文献に入れていない。というのも、西洋文明にとっては「発明(技術や技術進歩)、応用科学、実業や国際貿易」もキリスト教から切り離すことはできないことを、福澤も天野もよく認識していたからであろう。(つづく)
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