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2015-09-14 00:00
中国の緩い環境規制は隠れた”競争力”であった
倉西 雅子
政治学者
中国の首都北京は、深刻なPM2.5問題を抱えており、紫禁城の上空に青空が広がる日はめったにはないそうです。これ以上、大気汚染問題を放置すれば、国民の不満が政権批判に向いかねないとの危機感からか、遂に、中国当局も、規制強化のための法改正を行ったと報じられております。
WTO加盟以来、中国は急速な経済成長を遂げてきましたが、その原動力は、13億の人口を背景とした安価な労働力とされてきました。しかしながら、もう一つ、中国には、国際競争において有利な要因がありました。それは、緩い環境規制です。公害が深刻化した70年代頃から、先進各国は、大気、土壌、水質…の何れの分野においても、経済活動が国民に健康被害をもたらさないように、環境規制の強化に努めてきました。年々、汚染物質の排出量に関する規制基準は厳しさを増し、毒性の高い化学物質などの取扱いや保管についても厳格な管理が求められるようになったのです。
今日では、地球温暖化対策として、二酸化炭素も排出規制の対象です。一方、一般に、社会・共産主義体制を経験した国では”科学的農法”の結果として農地汚染度は高く、中国もまた、改革開放路線を選択する以前から環境破壊が進行していました。そして、この改革開放の出発点における低レベルの環境規制は、高レベルの環境規制を敷く先進諸国から製造拠点の移転を誘う要因となったのです。通常、何事も、規制レベルが高いところから低いところへと流れるものですので、見る見るうちに中国は”世界の工場”と化しました。と同時に、”世界の汚染地”となったことは言うまでもありません。
ようやく中国も、環境対策に本格的に取り組む姿勢を見せておりますが、政府の公式の方針と現場の実態とが一致しないのが中国の常ですので、どこまで環境規制が徹底できるのか疑問なところです。少なくとも、中国は、経済発展の果実でもある巨額の予算を軍拡に投じるよりも、経済成長に比例して負担すべきであった環境コストにこそ、予算を割くべきと思うのです。
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