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2015-09-03 00:00
国連の中立性を侵害する藩事務総長
倉西 雅子
政治学者
本日、中国で開催が予定されている抗日戦勝70周年の記念行事に、国連の藩事務総長も出席するとの報道がありました。連合国の首脳さえ出席を控えている中だけに、驚きと共に懸念も広がっております。
第二次世界大戦における連合国の戦後構想に基づくとはいうものの、国連は、今では旧枢軸国も参加する普遍的な組織へと発展し、全ての諸国に対して中立・公平な存在であることを旨としております。国連が普遍的な組織である限り、その国連を代表する事務総長が特定の加盟国に肩入れすることは御法度なはずなのですが、藩事務総長は、敢えてこの国際社会における暗黙の禁を破り、中国に対して特別の配慮を見せています。国連に対する諸国の信頼性が、組織としての中立性の保持と表裏一体であるとしますと、藩事務総長の行為は、国連の存在意義を根底から揺さぶりかねません。一体、何を目的として、藩事務総長は、中国主催の戦勝記念行事への出席を決めたのでしょうか。
以前より、藩事務総長の出身国贔屓の態度は、国際社会のみならず、国連職員からも批判の的となってきましたが、推測される動機は、残り僅かな任期を前にして、事務総長退任後の韓国大統領選への準備のために中国との接近を図ったとするものです。中国は、韓国国内において、マスコミ等を通した世論誘導等を試みていると推測されますので、藩事務総長は、中国の覚えが目出度ければ、中国を後ろ盾として選挙戦を戦うことができます。否、この出席は、”戦勝国”としての国際的な承認を得たい中国側と、大統領就任の事前承認を得たい藩事務総長側とのバーター取引である可能性さえあります。一方、近年、韓国世論自身も、中国の対韓工作の成果か、親中に傾いており、藩事務総長の行事出席は、韓国世論への迎合であるのかもしれません。
もっとも、出身国である韓国政府の命による出席である可能性もありますが、それが事実であるとしますと、国連が事務総長の出身国に従属していることにもなり、中立性の問題はさらに深刻化します。真偽のほどは確かめようもありませんが、事務総長の行動が国連の中立性を侵害している現実は、予定されている次期国連事務総長の選出に際して、事務総長の資質や行動規範の問題を提起することになるのではないかと思うのです。
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