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2007-01-29 00:00
日米経済界の「共生相利」提言について
大河原 良雄
・グローバル・フォーラム代表世話人、世界平和研究所理事長
ACCJ(在日米国商工会議所)は昨年12月に日英両語による「ビジネス白書」を発表したが、同白書は「共生相利」の理念の下、日米両国の経済界が共に働き、共に成果を収める為の協力を深めるべきであるとの提言を行っているのが注目される。近年、日米間の経済関係は極めて順調且つ円滑に推移しており、1990年代に見られた如き経済摩擦状態とは様変わりの展開をとげていることは慶賀に堪えないところであるが、その頃日本市場の閉鎖性に基づく貿易の不均衡是正を主張し続けてきたACCJが、日本市場の実態に照らして視点を改め、上記の如き理念の下に協力の重要性を謳っていることは興味深い。
尤も、同白書はイノベーションの実施や対日直接投資の促進等の見地からは日本市場において依然として改善及び改革を求められる分野が存在しているとの認識を示し、新しい状況に対応して経済統合協定の締結や日米経済閣僚フォーラムの設置のほか、多くの分野で日米協力作業部会の新設を提言しているのは注目されて然るべきものがあると思う。経済統合協定については、昨年の日米経済協議会においても日米自由貿易協定の締結について積極的な対応を求める議論が日米双方より展開されたと承知するが、米国と韓国との間で自由貿易協定の締結について交渉が進められている状況を我々としても十分フォローして、今後あり得べき日米間の交渉の参考とすべきであろう。
日米経済閣僚フォーラムの設置はブッシュ政権の下で米国と中国との間で経済閣僚会議の開催が協議されていることに着想されたものかと思われる。日米間には1961年から1972年まで日米経済閣僚会議が継続的に開催されてきた。1960年の安保騒動の後に「断たれた対話」の修復の目的を以て創設されたものであり、「日米新時代」を拓く積極的な意義が謳われたものであるが、双方6,7人の経済閣僚を一堂に集めての定期的な会議の開催は事務的には中々の負担を伴うものであり、回を経る毎に「費用対効果」の点が問題視されるに至った経緯が想起される。
作業部会の開催についても同白書は20にも近い数の作業部会の創設を提案しているが、余りにも網羅的に過ぎて実務的には問題が多い。効果を挙げるために優先順位を定めて重点的に実施することが望ましいと考える。上記の様な意欲的な白書の提言の個々については実施に当り配慮を必要とする点も散見するものの、基本的な取組み方については傾聴すべき点も多く、日米経済関係の一層円滑な進展の為に関係各方面において、積極的に検討の対象とされんことを期待したい。
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