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2015-08-28 00:00
(連載2)知的怠慢を招く憲法第9条戦争抑止説
倉西 雅子
政治学者
しかも、今日、中国の領土的野心が顕わな状況にあって、憲法第9条が今後とも平和を維持する保障はどこにもありません。否、憲法とは国内法ですので、国際法さえも遵守しない中国が、日本国の国内法によって拘束されるはずもないのです。
仮に、中国が日本国に対して侵略戦争を仕掛けた場合、憲法第9条を擁護する人々は、”中国には憲法第9条がなかったから”と説明するのでしょうか。自らの主張に基づいて日本国と国際社会の安全を真剣に守ろうとするならば、憲法擁護論者の人々は、中国に対して憲法改正による”第9条”の加憲を訴えるはずなのですが、一向にその気配も感じられません。また、法の拘束力に期待するならば、国内法である日本国憲法に期待しても然して意味はなく、国際レベルにおける国際法や平和的な解決手段の整備にこそ力を入れるべきです。
通常、ある現象に対してその原因を分析する場合、常に一つの要因に絞られるわけではありません。また、戦争とは、武力の行使を伴うのですから、物理的な見地からしても、当然に、軍事的な抑止力の効果を無視することもできないはずです。
現実に存在する対立の原因を的確に分析した上で、力、合意、法といった人、並びに、国の行動に対して拘束力を有する全ての論理から多面的にアプローチしない限り、人類は、戦争という行為に終止符を打つ、あるいは、侵略戦争を制止することはできないのではないかと思うのです。(おわり)
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