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2015-08-27 00:00
(連載1)知的怠慢を招く憲法第9条戦争抑止説
倉西 雅子
政治学者
日本国憲法第9条の改正に反対する人々は、その根拠として、戦後70年間にわたって維持された日本国の平和を挙げています。言い換えますと、”日本国が戦争をしていない”という事実を以って、憲法第9条の戦争抑止効果を主張しているのです。しかしながら、この平和に関する分析、正しいのでしょうか。
仮に、憲法第9条が戦争を抑止しているとしますと、論理的には、”全ての戦争は、戦争当事国の憲法に同様の条文が存在していなかったから”という結論に達します。つまり、全ての戦争の原因は、第9条の如き条文の有無に帰せられるのです。現実に起きてしまった戦争について原因や要因を問われた時、”第9条がなかったから”と返答したとしますと、この回答は、おそらく質問者を唖然とさせることでしょう。そして、さらに戦争終結の方法を尋ねられた時、”憲法を改正して第9条を設ければよい”と答えたとしますと、質問者は、今度は言葉を失うかもしれません。
憲法による拘束に焦点を絞った戦争観からは、国際社会を構成する諸国間の利害の衝突、あるいは、国際法を無視し、他国の権利を侵害してまで国益を追求する国の存在は見えてこないのです。
戦争の真の原因が分析できないのでは、当然に、有効な解決策や予防策を見出すことも困難です。こうした態度は、国際情勢に対する客観的で精緻な分析の放棄を意味しますので、現状分析に基づく対応の策定という知的な作業を怠ることにもなりかねません。(つづく)
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