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2015-08-20 00:00
(連載2)安保法制の論点:改正PKO法について
緒方林太郎
衆議院議員
私の個人的経験でDDRの対象となっている元兵士に2度お会いしたことがあります。西アフリカのマリ共和国でのトゥアレグ族と、中央アジア・タジキスタン共和国でのムジャヒディーンです。率直な感想を言えば、つい最近まで戦争をしていた方々ですから、その目付きが怖いのです。あんな目付きをした人にあった事はそれ以降ありません。気の弱い私は、あれらの方々に「持っている武器を出せ」と言えないでしょう。また、直感的に「経済情勢が悪くなったら、また100ドルくらいで武装集団に戻っていくんじゃないか?」と思いました。
安全確保業務はそれ以上に危険なミッションです。昨年7/1の閣議決定では治安維持まで踏み込んでいましたが、いわゆる治安維持のミッションから純然たる警察的業務を落としたかたちで安全確保業務としています。しかし、「防護を必要とする住民、被災民その他の者の生命、身体及び財産に対する危害の防止及び抑止その他特定の区域の保安のための監視、駐留、巡回、検問及び警護」はやるのです。
そもそも論として、PKO五原則の紛争当事者間で停戦合意があること、すべての紛争当事者が受け入れに合意していること(そして、それが安定的に保たれていること)なんてのは、安全であることを担保しません。最近、国連のPKO改革のレポートを読みましたが、「維持すべき平和がほとんど存在しない状態でのミッションもかなりある(ので、もっとミッションを絞り込んでほしい)」といった表現がありました。私も同感です。紛争当事者とは言えないけれども、よく正体のわからない武装集団があちこちにいるような状態でのPKOは、現時点では決して稀な事ではありません。
今年の初め頃、第一次アフガン戦争(ソ連の介入)をソ連側から見た「Afgantsy」という本(邦訳)を読みました。そこには、巡回活動をしていたソ連軍のことが書かれていました。のどかなアフガニスタンの村にソ連軍が巡回に行ったら、村総出で大歓迎、しかし、実は村は武装勢力と繋がっていて、帰り道でソ連軍は待ち伏せされて全滅、そんなくだりがありました。もう30年前の話ですけども、そのメンタリティは変わっていません。軍服を着た勢力がやってくれば、PKOであろうが、国連決議があろうが、それを「占領軍」として快く思わない地域というのは、この世の中にたくさんあります(なお、誤解が無いように言いますが、PKOとソ連軍を同一視しているわけではありません)。(つづく)
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