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2015-08-05 00:00
(連載2)大詰めのTPP交渉への懸念
緒方林太郎
衆議院議員
農林水産業ではコメ、乳製品等で既に多くの報道がなされていますが、それ以外でも現時点で私が気になる論点を挙げておきます。網羅的ではありません。自動車関税、というよりも、自動車の原産地規則。原産地規則というのはとても技術的なのですけど、これの作り方を間違えると仮にアメリカが自動車に対する関税をゼロにしたとしてもそれを享受できないという事があり得ます。例えば、原産地規則には付加価値基準というのがあります。これは日本での製造過程で●%の付加価値が付かないと日本産だとみなさないというルールです。本来は迂回貿易禁止のための規定なのですが、この●の数字が高く設定されてしまうと、今、日本の自動車産業は外国から部品を輸入して製造していますから、例えばトヨタ九州で作った自動車が日本産だとみなされないという事になってしまいます。
遺伝子組換え。あまり問題として報じられていないので、それ程大きな論点になっていないのかなと思っていますけど、変な規定が入ったりしていないかは要注意です。
政府調達。ここは日本として取りに行くものが大きい部分です。日本はかなり開放度が高いと思います。一定の額を超えると、我が北九州市(政令指定都市)での国際競争一般入札をすることになっています。それと同じくらいの開放が取れているかどうかということです。アメリカでは州レベルでの開放が無い州がかなりあります。簡単に言うと、北九州市庁舎の清掃には外資が入られるが、シカゴ市庁舎の清掃に日本のビルメン業者は入れるのか、というふうに言えば分ってもらえるでしょう。
著作権の非親告罪化。著作権には派生的な権利も含めて多種多様なものが含まれていますが、今は権利侵害があって、権利者が告訴することが要件になっています。しかし、これを非親告罪化すると権利者が告訴しなくても捜査を始めることが出来るようになります。元々、数年前に問題になったACTA(偽造品の取引の防止に関する協定)でも提起された論点ですが、その時は非親告罪化の導入は任意でした。これが今回やってきたという感じです。簡単に言うと「鳥山明さんの許可を得ていないドラゴンボールのコスプレは、鳥山さんの告訴が無くとも取り締まられるのか」ということです。著作権は守られるべきだと思いますが、模倣から生まれる新しい文化もありますからね。(おわり)
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