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2015-07-28 00:00
(連載2)安保法制の政治的意味合い
三浦 瑠麗
国際政治学者
与党公明党は、連立政権の中にあって何とか存在感を示そうと必死です。それは、主にパーセプションの世界の話ではあるけれど、平和の党としてのブランドを守るための難しい判断があったのだろうと推察します。公明党の判断に対して、支持組織の現場からあからさまな批判が表明されています。通常の公明党の感覚からすれば、看過し得ない醜態なのだろうけれど、それでも必要な判断を下した重みは感じられます。
民主党は、安保法制に対して反対を貫くという決断をしました。特に、国会で参考人による違憲との陳述がなされて以後は、入口の憲法論と法律論に傾斜して勝負をかけました。党内に路線対立を抱える中、対案路線もありえたのだろうけれど、そこは旧社会党的DNAに立ち戻って、ある種、戦後日本的に筋を通したのでしょう。徴兵制論を持ち出して懸念をあおるやり方も、女性を中心にある程度の効果は挙げています。ところが法案への反対が高まり、政権への反対が高まる中でも、民主党への支持がそれほど高まっているようには見えません。政権担当能力を疑われ、日本政治において二大政党制が存続するかどうかの瀬戸際にあると思うのだけれど、民主党が抱える葛藤と覚悟が見えにくいということがあるのでしょうか。前回の代表戦で細野氏を擁立した保守派の独自な動きも、前述の7割の保守的有権者を二分するところまで想定しているようにはとても思えません。
維新は、哲学としての対話路線と、国会の中で存在感を発揮するために採用すべき戦術の間で揺れています。橋下大阪市長が体現する自助自立の発想に基づいた分権改革と、みんなの党以来の小さな政府を志向する経済政策から来る「維新という政治運動」の求心力は、先の大阪都構想をめぐる住民投票の否決によっていったん頓挫しました。
そんな中、次なる政治的な旗として着目されたのがナショナリズムだったように思います。維新の対案は、集団的自衛権を認めない代わりに個別的自衛権を拡張的に解釈するものです。そこには、戦後日本の政治的な自画像を守りながら、保守的な有権者の支持も獲得したいという政治的誘因があるのでしょう。維新のような新しい政党の中にさえ、戦後的なるものが息づいているのはちょっとした驚きを覚えます。(つづく)
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