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2015-07-23 00:00
(連載1)TPPとお米の法的論点
緒方林太郎
衆議院議員
TPPでコメの議論が盛んになっております。今、どういう議論になっているかは分からないのですが、日本農業新聞等で得られる情報をベースに法的な論点を書いていきたいと思います。かなりテクニカルですけども、お付き合いください。なお、誤解の無いように予め言っておきますが、私はアメリカの主張を是としているわけではありません。あくまでも、こういうやり取りになっているであろうという推察だけです。
まず、アメリカは一定量の主食用米を購入するよう要求しています。そして、アメリカの数量の一定量の枠をオーストラリアも求めています。それに何らかの対応をしようとしているようです。これは本当に可能なのかということです。
今のコメの輸入は国家貿易で行われています。そして、本来アクセス機会だけを提供すればいいものを国家貿易だからということで全量輸入しています(ただし、国家貿易だから全量輸入しなくてはならないという国際法上の根拠はありません)。国家貿易については、GATT17条において「商業的考慮のみ」に基づいて行われることになっています。これまでずっと、日本は76.7万トン(玄米ベース)の概ね半分をアメリカから輸入しています。しかし、商業的考慮のみに基づいて購入しているわけですから、76.7万トンの概ね半分という数字はあくまでも「(商業的考慮のみに基づいた)結果」であって、「アメリカ枠」があるわけではないというのが、国際法に沿った日本の現在の立場です。
さて、ここまでの前提をベースにして、今回アメリカが要求してきている新規輸入についてですが、この輸入にどう対応すべきかというのは結構難しいのです。まず、国家貿易枠を拡大して、拡大した分をアメリカ輸入枠とするということが考えられます。これは先のGATT17条との関係で無理でしょう。今の76.7万トンの概ね半分というのも、公的にはアメリカ枠ではないのです。あくまでも商業的考慮のみに基づいて輸入した「結果」です。国家貿易枠の中に、特定の国からの輸入枠を設けること自体、商業的考慮のみに基づいた輸入が行われていないと判断されるでしょう。次に考えられるのは、国家貿易を一般的に拡大しつつも、拡大した分は「事実上」アメリカからの輸入に充てるというアイデアですが、これを論理的に説明することは極めて困難です。「何故、拡大した分がアメリカのみに行くのか」ということを論理的に説明することは無理でしょう。(つづく)
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