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2015-07-16 00:00
(連載3)安保法制:パーセプション・ゲームの功罪
三浦 瑠麗
国際政治学者
維新の対案のもう一つの柱は、民主党と共同で提出した領域警備法です。これは、必ずしも安保法案への対案というわけでもないのだろうと思いますが、実務的に重要な問題意識を含んでいると思います。そもそも、グレーゾーン事態への対処は、公明党との与党協議の過程を通じて次第に焦点から外れていったと報道されています。尖閣近海における中国船への対応など、現実に対応を迫られている難しい事案を含んでおり、与党内及び国民感情への配慮からはずされたということでしょうか。
今般提出された領域警備法のポイントは、領海の警備を第一義的に担っている海上保安庁の運用に無理がある部分について、海上自衛隊が肩代わりできるようにすることです。実際、日本近海における中国の動きが活発化するにつれて、量的にも質的にも海保の能力の限界を超えつつあります。海保の現場は休日返上で不審船への対処にあたり、しかも、対潜水艦や対航空機への対処はそもそも想定されていないのですから。
このような運用上の問題意識は従来から存在してきたものであり、海保の能力も増強されてきましたが、海上自衛隊との役割分担を整理することは良いことだろうと思います。今回、野党第1党と第2党が共同提出に至ったことは、民主党が一度政権を担当したことの良い影響だろうと思います。すくなくとも、安保法制をめぐる議論が違憲論に終始し、あるいは根拠が不明確な徴兵論に時間を費やすよりはよほど建設的です。
ここでも、今般の領域警備法は抑制的であり、政府案は好戦的だという単純な理解では間違うでしょう。どの段階で海上自衛隊を出すかについては、実務的には非常に難しい判断です。下手な運用を行うと、先に軍隊を出してきたのは日本であり、日本が事態をエスカレーションさせたということになりかねません。大切なのは、運用の詳細を含めてしっかり設計し管理することです。(つづく)
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