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2007-01-26 00:00
連載投稿(1) 英語教育と日本の将来
湯下 博之
杏林大学客員教授、元大使
安倍内閣が教育再生に真剣に取り組んでいることは喜ばしいが、どのような内容にするかは国の将来を見据えた議論を踏まえないと、後悔の種を残すことになりかねない。その観点から、英語教育の重視を是非実現してもらいたい。もっとも、英語教育といっても従来の学校での英語教育の量を増やすといったことではなく、教養としてのみならず実用を念頭に置いたものへと質の見直しをすることが重要である。何故なら、今や英語は、インターネット等の利用のためにはもとより、アジアの人々ひいては世界の人々とのコミュニケーションの道具となっているからである。
私の経験では、最初にいった外国はタイであったが、タイ語を解さずタイ文字も読めなかったので、何をするにも(日本語とは行かないまでも)英語を話す人を見付けることが先決であった。日本にいる時は、外国人から英語で話されると当惑したりしていた自分が、タイでは「キャン・ユー・スピーク・イングリッシュ?」と訊ねて「イエス」と言われるとほっとし、英語が広まることの大切さを痛感したものである。
その後、今から30年ほど前に初めてベトナムに行った際も、首都ハノイで外国人向けの最大のホテルに泊まったにもかかわらず、英語を話すスタッフが1人しかおらず、大変不便な思いをした。そこで、チェック・アウトの時に「ベトナムは、観光客を含む外国人を誘致したいのだが、ホテルについてサジェスチョンがあったら聞かせて欲しい」と言われた際に次のように答えたのを覚えている。「このホテルには英語を話せる職員が1人しかいないので不便である。英語は今やベトナムにとって旧敵国の米国の言葉というよりは、アジアの人々を含む世界の多くの人々の共通語である。したがって、日本人をはじめアジアの人達を誘致するに当たっても、英語を話す職員を増やすことをお勧めする」と。
幸い、その後ベトナムでは英語を学ぶ人が増え、1991年に私が大使としてベトナムに赴いた頃には、若い人達の間で最も普及している外国語は英語という状況になっており、コミュニケーションに不便はなくなっていた。更に、その後のベトナムはASEAN(東南アジア諸国連合)に加入したが、ASEANの会議での用語は英語なので、ますます英語を話す人材を養成する必要に迫られた。その結果、かつては英語のできなかった60才を越えた閣僚クラスの要人が、英語を勉強して外国人との社交ぐらいは英語でこなすというようにもなった。
このように、アジアの人達が、英語がアジアの共通語になっているということを意識して、努力して英語を学び、アジア人の間での交流を英語で行っているのを見ると、日本人も本気で英語に取り組んで外国人と交流できるようにならないと、アジア人だけの集まりに置いてさえ、日本人だけが話から外れてしまうことになりかねない。(つづく)
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