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2015-05-31 00:00
自由な研究交流に向けて
池尾 愛子
早稲田大学教授
中国の情報が欲しい。そんな声が最近出席したセミナーでアメリカ人スピーカーから聞かれた。「ヨーロッパの人たちも中国の情報を必要としている」と間接的に聞いている。日中関係はといえば、昨年秋あたりから改善してきていることは周知の事実であるが、「まだ改善途上なのか」という感想を持つことも事実である。関係改善のスピードは緩慢なのであろう。
それでも、社会科学系の専門分野の一部では、研究交流が行われたり、中国関係の情報が具体的に入ってきたりしているようだ(私自身は4月に小セミナー参加の機会を2回ほど逸した)。中華人民共和国史に関する英文メーリングリストの状況はといえば、昨年は投稿が少なかったが、今年は増えて毎日のようにポストが入っている。そして今年後半には、中国から「在外研究」に出る研究者がたくさんいるのではないか、と思われる。また中国で今年後半に開催予定の国際会議の案内を何度か眺めていると、海外にいる中国人研究者に参加してもらうことを期待しているように感じられるものもある。
気になることはある。例えば、中国の経済データが外国にはパッケージ販売されているようなのだが、中国国内の大学研究者にとって専門分野に関するデータや資料の入手が困難なのかしらと思うことがある。また、国際機関の会議での過去の配布資料について、日本の関係省庁からの方が入手しやすい事があるのではないか。国際会議の席では配布資料の内容が全部議論されるわけではなく、資料が配られただけで議論されないトピックもあるので、入手先への聞き取り調査も行うように勧めた事もある。中国では種々の資料が入手しにくいので、資料の入手が比較的容易な日本研究をしている中国人研究者がたくさんいる、と考えている人々もいるようだ。本当にそうなのだろうか。正確なデータを基にした自由な研究は、持続的経済成長に欠かせないのではないか。
2014年6月の国際経済学会のヨルダンでの世界大会に参加した感想は、本e‐論壇に6月11日に投稿した。その3年前の2011年には北京で世界大会が開催されていただけに、中国人エコノミストのヨルダン大会参加者が少ないとの印象を受けた(数名か十名ほどだったように記憶する)。国際的な研究交流の潮流は中国では後退していたのだろうか。一般には見えにくくても、限定公開セミナー等で研究交流が進んでいるのであれば、それでもよいのではないか。
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