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2015-05-20 00:00
(連載2)橋下代表の政界引退は無責任
中村 仁
元全国紙記者
ですから「政界のトップを狙えないなら、もう政界に用はない。さよなら」と、なったのですかね。「まれに見る異能の持ち主」、「大阪でこそ生まれた風雲児」、「民放テレビのバラエティー番組が生んだ新人類型政治家」など、様々な評があります。反面、「ヒットラー型の危険人物」、「強引、乱暴、暴走、無神経」という悪評もあり、それは風雲的政治家として生き抜くための条件だったのでしょうか。弁舌も精神力もあきれるほどタフで、とにかくへこたれない、めげないという面では、「こんな日本人はいたのか」という思いを持ちましたね。人間としての裏面はともかく、憎めない顔をいつもしていました。「橋下現象」は今後も政治、社会分析の対象としてあり続けるでしょう。
安倍政権は、憲法改正では共通点がある橋下氏を引き込もうとしていました。住民投票の賛否の票差はわずか1万(0.8パーセント)でしたから、安倍首相が投票直前に大阪入りしていたら、結果はひっくり返っていたかもれません。地元大阪の府議、市議が強硬な橋下反対派とあって、そうした隠し玉はかないませんでした。ともかく、ほんのちょっとしたことで歴史が変わる、あるいは変われなくなるというケースでしたね。
わたしとしては、関西圏の中核である大阪は日本第二の経済圏であり、府と市が争っているような時代ではない、と考えます。府と市の二重行政によって巨大な価値が失われているのは、大阪圏がその代表例でしょう。人口減が進む時代に、新たな地域行政システムに転換するケースを大阪で成功させ、日本全体に広げていく突破口にすべきチャンスを失いました。
首都直下型震災が「30年以内にくる確率は70%」とされます。東京が大災害に直撃されれば、政治、行政、経済、金融の機能がマヒしかねません。東日本大震災の直後、「第二首都構想」、「副首都構想」の実現が叫ばれ、国家の中枢機能の分散、バックアップ機能の充実などに真剣に取り組むようなるのでは、と期待していました。「大阪都構想」では、この問題にまったく触れられませんでしたね。安倍政権に「大阪都」と「副首都構想」を結びつけ、「大阪都」を大きくクローズアップさせてみる策士がいたら、違った展開になっていたでしょう。(おわり)
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