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2015-05-20 00:00
「松野維新」分裂含みでスタート
杉浦 正章
政治評論家
いやはや、江田憲司が「代表を辞める」と言い出したら、慰留もせずに、すぐ後任選びの手続きに入ってしまうのは、祖父・松野鶴平並みかと思ったものだ。江田に近い議員は「一度は慰留するかと思った」とぼやいている。鶴平は権謀術数に長けていたから「ズル平」といわれたものだ。「党首討論が5月20日に控えているから」と言うのが後任人事を急いだ理由だが、政治環境をフルに活用する手法も似ている。父親の松野頼三も実に切れて、政治センスもよかった。佐藤派担当の頃、芝白金の松野邸に夜回りすると、暖炉を前にいつも談論風発であった。ある夜、超高級ウイスキー瓶を持ち出して、記者たちにふるまったが、「うまいか」と聞かれて、小生は「分かりません」と正直に答えたが、これが正解だった。他社の記者は「うまい、うまい」と飲んでいたが、後から秘書が「あの瓶には国産ウイスキーが入っていた」と教えてくれた。親父も相当な権謀術数家であった。その息子が一党の党首だから、松野家は日本的な政治に長けた血が流れているのだろう。
松野頼久は民主党を離党して日本維新の会結党に参画したが、民主党時代はあの鳩山由紀夫の側近中の側近であった。鶴平が鳩山一郎と行動を共にした戦後の歴史も作用しているのだろう。鳩山内閣では官房副長官を務めたが、数々の「殿ご乱心」があったにもかかわらず、松野が諫めたという話は聞かない。官房副長官という立場は、記者らとの交友を深め、情報を収集して、時には首相を諫めるためにあるようなポジションである。それが出来なかったのは政治的に未熟であったからだろうか。ただ、民主党に所属していたからと言って、その政治信条が左傾化しているかと言えば、そうでもない。昨年の衆院選での毎日新聞のアンケートでは「村山談話」や「河野談話」を「見直すべきだ」と回答している。イデオロギー的に先祖伝来の保守的信条をもっているようでもある。
発言からは、野党再編指向のように見える。しかし19日夜のNHKのインタビューでは「少なくとも国民の多くは安倍政権はよくやっているとの評価を下している。安倍政権が倒れた後に取って代われる野党の結集に動いてゆく」と述べている。さらに「安倍内閣が憲法改正を掲げるのなら首相公選制など機構改革にしっかり胸を開いて議論をする」とも述べた。この発言から見ると首相・安倍晋三と親しい橋下徹への配慮が見られなくもない。持論の野党再編を長期的な課題としているからだ。しかし、党を取り巻く政治環境は悠長な対応では乗り切れない側面が強い。今そこに安保法制という課題が待ち構えているからだ。党内の大阪系議員は、政界再編に慎重であることに加えて、安保法制でも拒絶反応と言うより妥協論が強いからだ。
松野は安保法制について「PKOの平和活動でさえ3国会もかかった。夏までに通すというのではなく、十分な審議と時間をとって、国会を跨ぐくらいの充実した審議を求める」と発言している。反対を前面に押し出している民主党の主張と変わらない。この姿勢から判断すると、今国会での成立反対に動く可能性が強いのだ。その場合、自民党は維新の構造的な弱点を突く動きに出る可能性が高い。構造的弱点とは、3分の1は存在する大阪系議員や中間派への働きかけである。ここを突かれたら、維新は政界再編を待たずに分裂する可能性だって否定出来ない。折から、大阪系の国対委員長・馬場伸幸らを中心に、橋下の政治家引退を止める動きが生じている。小さいなりに複雑な党内情勢を抱えており、松野で党が持つかどうかも試されることになりそうだ。衆院40人参院11人の結束維持は容易ではない。大義もなしに再編を先行させれば、議員らの議席確保策と受け取られかねない側面もある。
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