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2015-05-11 00:00
(連載1)「いずも」の実像
牛島 薫
団体職員
4月11日(土)、3月下旬に就役したヘリコプター搭載護衛艦「いずも」の特別公開が横須賀基地で行われた。約9,000人の見学枠に対して4万人分もの申し込み葉書が届いたほどの人気ぶりだった。このいずもは22「DD」H、すなわち「駆逐艦」を称する護衛艦である。ところが、某有力紙から「空母だ」と指摘され、去年の進水以降、近隣諸国の一部からしばしば日本の「右傾化」の象徴として言及される存在にもなっている。
ちなみに22DDHとは平成22年に予算が組まれた護衛艦を意味し、それは中韓と友愛の海を築き上げると高らかに謳った鳩山由紀夫内閣の時である。戦後70周年を迎え安倍政権を攻めあぐねるプレイヤーたちが、かつて自分たちが好意的に評価した鳩山政権によって予算付けされた自衛艦を問題視する様は皮肉でしかない。
いずもが議題に上がる時、必ず出てくる話題が「いずもは『空母』ではないのか?」という問題提起と、その行間で暗示される日本への危険視である。空母かどうかを論じることに価値を感じない身としては、「空母」というキーワードにこだわる向きが存外多いことに驚かざるを得ない。思うに先の戦争で旧日本海軍が主力戦闘艦として運用した空母が、多くの人々にとって軍国主義の象徴であることに起因するのであろう。故にまず「空母」とは何かを知らなければ「いずも」の実像を捉える事は出来ない。
一般的に「空母」とは、旧日本海軍の正規空母「翔鶴」や米海軍が保有する原子力空母「ミニッツ」、英国海軍の軽空母「インヴィンシブル」のような艦体の上部に広大な板、すなわち全通甲板を設置した平たい軍艦を指す。これらの軍艦の最優先任務は、端的に言えば制空権の確保である。制空権を確保できなければ、敵地を空爆するどころか自勢力が敵の空からの攻撃に対して無防備になり、潰滅的打撃を受ける。この様な事態を避けるために必要な兵器が固定翼機(戦闘機)であり、それを搭載するのがいわゆる「空母」である。(つづく)
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