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2007-01-05 00:00
久間初代防衛相の政権公約無視
伊奈 久喜
新聞記者
1月9日、防衛省が発足する。適切な例えかどうかはわからないが、非上場企業がようやく上場されたようなものだとすれば、社員の士気もあがるし、企業としての責任も重くなる。だが省になったからといって首相の指揮から独立したわけではない。自衛隊法第7条には「内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する」とあり、8条に「長官は、内閣総理大臣の指揮監督を受け、自衛隊の隊務を統括する」とある。長官とあるのは防衛庁長官であり、9日以降は防衛相となる。
現在の久間章生氏は、北朝鮮の核実験後の周辺事態を適用するかどうかをめぐる議論をはじめ、折に触れ安倍首相の路線と対立する。2005年9月の衆院選の自民党の政権公約には次のような個所がある。
「国際平和協力については、テロ特別措置法やイラク人道復興支援法といった特措法でなく、今後は国際協力に関する一般法(国際協力基本法)を制定するなど、迅速な対応が可能となるよう検討する」しかし久間氏は2006年9月26日、安倍政権発足で防衛庁長官に就任した際、次のように語ったと報道された。「久間章生防衛庁長官は26日夜、閣議後の記者会見で、自衛隊の海外派遣に関する恒久法の制定について『自衛隊を海外に出す場合、色々なケースがある。全部をひとくくりにしてやれるのか若干難しい点がある』と指摘、制定に消極的な姿勢を示した。安倍晋三首相はこれまで、恒久法制定に前向きに取り組む考えを示している」(日本経済新聞2006/9/27)。
2006年12月15日夜、省昇格法の成立直後には次のように語った。防衛庁のホームページにつぎのような記者とのやりとりが記されている。
Q:恒久法について、総理が昨日も制定に意欲を示されておりますけれども、改めて恒久法制定についての大臣のお考えをお願いします。
A:私もそういう恒久法が出来れば、それは非常に迅速に対応できて良いなと思っております。しかしながら、恒久法と一口に言いますけれども、技術的にいろいろな問題を含んでおりますから、これは、今度省になりますけれども、防衛省だけではなくて、内閣法制局をはじめ、どういう中身を一つの恒久法としてまとめ切れるかどうか、各党の意見等も聞かないと、なかなか難しい点もあるのではないかと思います。私はそう言う意味で、担当の大臣として、それを防衛省としてやりますという自信を持つまでには至っておりません。ただ総理も、「色々研究してみようじゃないか。」という事をおっしゃっていらっしゃると思いますから、私はそういう事については前向きで良いのではないかと思っております。
Q:時期的なメドとしては、来年の通常国会はさすがに厳しいですか。
A:色々な問題を含んでいますから、難しいと思います。今から米軍再編問題をまず取り組まないといけないですから、議員立法として考える分にはいいでしょうけれども、閣法としては、まず米軍再編のトランスフォーメーションの問題の法律を仕上げるだけでも大変だと思っておりますから、それに全力を挙げたいと思っておりますし、それに総理からも、防衛庁長官に就任した際に、再編に取り組んでもらいたいというのが第一の要請でしたから、それに一生懸命取り組んでいこうと思っております。
事情はわからないでもない。が、3カ月後も久間発言に変化はない。検討作業をしなかったのは事実である。政権公約無視である。
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