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2015-02-25 00:00
(連載2)「戦後70年」新年早々おかしくないか
尾形 宣夫
ジャーナリスト
昨年暮れ発足した第3次安倍内閣は盤石と見えるスタートを切った。だが、年明けとともに、どこかがおかしい。新年早々の中東訪問で火がついた「イスラム国」(IS)問題は、これからも安倍政権を悩ますことだろう。IS問題が政権の目指す集団的自衛権行使に向けた安保法制整備の論議を複雑にするだろうし、場合によっては連立の公明党の〝離反〟だってないとは言えない。首相が悲願とするその先の憲法改正などは、さらに先送りになるかもしれない。衆院予算委員会での首相の「日教組ヤジ」はお粗末だったし、野党に追及された揚げ句の訂正、陳謝も異例だった。「安倍1強」の傲慢さの落とし穴を、図らずも見せつけてしまった。「上手の手から水が漏れる」のたぐいだろう。
盤石な地盤も、思わぬところから崩れるものだ。昨年暮れ以来の沖縄県との辺野古移設を巡る没交渉、移設作業の強行も性急すぎて県民の反発を一段と大きくしてしまい、「軟着陸」の機会が見当たらない。予定される訪米に向けて事態がさらに悪化するようだと、1995年の少女暴行事件で爆発した島ぐるみ闘争の再現となりかねない。となると、日米同盟の深化どころの話ではなくなる。
本音はともかく、「経済最優先」(菅官房長官)の政権にとって、このところの空前の勢いを取り戻したかに見える東証株価は、「してやったり」だろう。だが、足元を見ると個人消費は相変わらず盛り上がらない。円安で高収益が予想される企業決算で春闘相場にも期待を抱かせる雰囲気はあるが、今年も政治主導の「官製春闘」となりそうだ。電機、輸出、金融関連企業の好業績が春闘相場を引っ張ってくれるかと言うと、それは無理だろう。円安による食料品、原材料費の上昇は中小企業を圧迫しているし、家計をも直撃する。一部の尻軽なメディアはミニバブルをはやし立てるが、高株価に「ミニバブル」をもくろんでいる場合ではないのである。アベノミクス礼賛のマーケットは株価の一段高を明言してやまないが、かつてのバブル経済に沸いたころの経済評論家は10人中、10人が何と言ったか。間もなくやってくるバブル崩壊に警鐘を鳴らしたアナリストは1人もいなかったことが思い出される。
言い古された言葉だが、「政局の一寸先は闇」である。「満月をめでる」政治状況がいつまでも続くとは限らない。満月は、間違いなく欠けるのが世の常である。「多弱」の野党が束になっても歯向かえない「安倍1強」の足腰を、さらに強めるはずの「戦後70年」の今年は新年早々、雲行きが怪しいと思わざるを得ない。(おわり)
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