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2015-02-24 00:00
(連載1)「戦後70年」新年早々おかしくないか
尾形 宣夫
ジャーナリスト
西川公也農水相が辞任した。自身の政治資金団体への献金問題が理由だが、どうも後味の悪さがぬぐえない。同氏の政治資金問題が発覚して以来、菅義偉官房長官などは「全く問題ない」と言い続けてきたし、西川氏自身も違法性はない、職務に専念すると抗弁してきた。それが一転、辞任である。何があったのか、疑問に思われるのは当然だろう。昨年9月の第2次安倍内閣発足からの閣僚辞任は小渕優子経産相、松島みどり法相に次いで3人目だが、同12月の第3次内閣発足直前に再任とされていた江渡聡徳防衛相のどこか不自然な〝辞意〟を含めると、この5カ月で4人目の辞任である。自民党の1強多弱、安倍1強といった看板に似合わない閣僚の相次ぐ辞任が持つ意味は大きい。
農水相の辞任は〝突然〟だった。少なくとも、突然番組を中断して西川氏の辞任を伝えたNHKの速報を見た視聴者は驚いただろう。だがNHKの続報を見ていて、私が「あれっ」と思ったのは、速報に続いて官邸詰めの記者がスタジオで解説を始めたあまりの「手際の良さ」だ。「西川辞任」報道の準備が整っていたことは容易に想像できる。
報道の常道として「辞任あるべし」と判断すれば、まずニュースとして流すのは「辞意固める」→「辞任へ」といった、「前触れ記事」があって、その後で「辞任」のニュースとなる。そのプロセス、流れが今回は全くなかったのである。西川辞任を伝えた24日付の紙面を見ると、朝日新聞を例に取れば「西川氏は先週『辞める用意』を官邸に伝え、安倍首相は後任選びに着手していた」という。つまり、西川氏の辞任は既定の路線だったということだ。西川氏の辞意にマスコミが気付かなかったと言ってしまえばそれまでだが、NHKの「準備の良さ」を見れば、少なくともNHKは「知っていた」と言って間違いない。朝日の紙面も得心がいかない。とすると問題は、官邸の「西川辞任」の情報管理が徹底し、「突然の辞任」となって公表されたと見ることができよう。「西川辞任」から間髪を入れず「後任は林芳正前農水相」と決まり、その日のうちに皇居での認証式も済ませた。水も漏らさぬ素早い手続きだった。
西川氏は意外とさばさばと辞任の理由を語った。「いくら説明しても分からない人は分からない」「何も法に触れることはしていない。返金したから問題はなかろう」と言うようだが、このあたりに東京・永田町のカネに対する〝不感症〟さが表れている。俗な言い方をすれば、「ふてくされた」ような言い方だ。「これから農政改革をやっていこうという時に、内閣に迷惑をかけてはならない」というのも、辞任の弁としてはごく当たり前だし、説得力もない。西川氏が農政に通じていることは確かだが、大詰めを迎えたTPP問題では欠かせない閣僚だったし、アベノミクスの成長戦略を左右する農協改革は山を越えたといっても、実質的な詰めはこれからだ。TPPを巡る米政府の情報戦に日本側は押されっぱなしのようだ。開けてみたら日本がねじ伏せられた、となりかねない懸念は大きい。西川氏が表舞台から姿を消して、米側がどう出てくるか。畳み掛けてくることはないのか。外交の不安は尽きない。(つづく)
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