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2015-02-19 00:00
(連載2)曽野綾子さん、無神経でしたね
中村 仁
元全国紙記者
わたしには文学作品を論評する能力はありません。ベストセラーになった曽野さんの人生論めいた社会論は読んだことはあります。誰もが思っていても、口にしないようなことが、ずけずけ書いてありました。強気でこわいもの知らずというのでしょうか。本音というか、挑発することを恐れないというか。それも保守思想が背骨になっていますので、ファンが多い一方で、気に食わない人も少なくないはずです。わたしが新聞社にまだいたころ、寄稿文の表現が適切でない箇所を、編集デスクが独自の判断で手直ししたところ、烈火のごとく怒りまくり、しばらく新聞社とは絶縁状態になりました。そういうタイプの人ですね。
つい2、3日前、日経新聞にフランスを代表する国際政治学者、ドミニク・モイジ氏のコラムが載っており、連続テロ事件を扱っておりました。「フランスはテロ事件後、国民の同化、連帯、平等に問題があると気づいた。バルス首相が都市郊外の貧しい一帯をアパルトヘイト状態と指摘したことは、驚きであり、現実である」、「移民と分る名前で郊外に住んでいるだけで就職できない」、「将来が見えないから結婚相手が見つからない」。曽野さんの認識とは正反対です。
曽野さんが軽い気持ちで思ったことでも、欧州では重大な問題なのですね。曽野さんの名誉のために触れておきますと、ロイター電など海外メディアで「首相の元アドバイザーがアパルトヘイトを称賛」という報道があったそうです。これはひどいですね。元アドバイザーというのは、官邸の審議会か有識者会議の委員ということだっただけでしょう。「アパルトヘイトを称賛」というのは、そう書けば大きな扱いになるという卑しい根性からのことだったのでしょう。海外メディアのレベルも落ちていますね。
ともかく異文明、異文化間の相互理解は難しく、誤解や対立が深刻な対決を招き、それが長年、蓄積すると、「イスラム国」のような暴走、暴虐という絶望的な事態に至るのでしょう。「イスラム国」問題が最大の国際問題になっているだけに、曽野さん、不用意でしたね。(おわり)
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