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2015-02-04 00:00
(連載2)涙だけでは終わらない人質事件
中村 仁
元全国紙記者
米ブッシュ政権のイラク攻撃でフセイン政権が倒れて国家が崩壊、内戦が始まり、イスラム国の前身の過激派が組織されました。シリアでは反政府政権をイスラム国が攻撃し、中央政府がイスラム国から石油を買うなど、中東の勢力図は複雑に入り乱れています。エジプトでもリビアでも、近代国家的な統治はなく、混乱に乗じて、過激派が伸張し、各地にイスラム国の兄弟が誕生している状態です。身内に対しても虐殺を繰り返しています。「テロを許さない」と叫んでも通じないのは、戦国時代の武士に「暴力、武力をふるうな」と、説教するようなものです。
「イスラム国がアラブ民族の統一国家の樹立、イスラム教徒による帝国の復活をもたらすことはないだろう」「むしろさらなる分裂を誘い、第一次大戦直後に起きた戦乱の再発をもたらす可能性がある」これがぶっそうな池内氏の予想です。イスラム国を壊滅しても、混乱は終わらないのですね。中東の動乱は封じ込めがまず不可能でしょう。
日本経済は、このように脆弱な中東にエネルギー資源の多くを依存しています。原発が全面的に止まり、火力発電が急増し、燃料の石油、天然ガスの中東依存度はまた、40年前の石油危機並みのレベルに戻ってしまいました。産業経済の血液はエネルギーであり、それが残虐なテロを平気でやってのける連中が巣くう中東に多くを依存しているのです。テロへの備えも、エネルギーへの備えも必要なんですね。
最後に。殺害された湯川遥菜さんの父親(74)が、湯川さん救出のためにシリア入りをしたという後藤健二さんの家族に向け、「申し訳ありません」と記者に述べ、何度もわびたとの記事を読みました。湯川さんは武器を持ってシリア入りしたとの情報もあります。不可解な行動の湯川さんを、フリー・ジャーナリストの後藤さんがなぜ救いにいったのか。後藤さんはおとりにひっかかったのか。相手が残虐な過激派だけに、用心が甘かったのではないか、善意が通じると錯覚したのではないかと、惜しまれてなりません。涙の物語ばかりでなく、その解明がほしいところです。(おわり)
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