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2015-01-18 00:00
(連載2)370万人のデモ大行進の現代史に置ける位置
中村 仁
元全国紙記者
中東に詳しい酒井啓子千葉大教授は「問題なのは、イスラムの預言者や信仰を低劣な絵でけなすということだけではない。それを毎年、キャンペーンのように続けている。イスラム教徒は自分たち全体が侮辱、差別されていると思う」と指摘しています。「表現の自由を認める」ことと、「シャルリー(テロの対象になった新聞社)を認める」ことは違うのではないかと、酒井氏はいいます。そうだと思います。「表現の自由」も内容のレベル次第で決まるのです。
フランスの歴史人類学者のエマニュエル・トッド氏は、日本の新聞とのインタビューで「テロは正当化しないが、フランスが今回の事態に対処したいのであれば、冷静になって社会の構造問題を直視すべきだ。北アフリカ系移民の2世、3世の多くが社会に絶望し、野獣と化すのはなぜか」と指摘しました興味深い点は「こういうことをフランスで発言すると、袋叩きにあう。だからフランスでは取材に応じていない」をわざわざ語ったことです。フランスが異様な空気に包まれていることを示唆しています。
フランスは冷静な判断能力を失っているというのです。トッド氏は「事件の背景にあるのは、経済が長期低迷し、若者の多くが職につけないことだ。中でも移民の子が打撃をこうむる」、「社会に絶望する移民の子がイスラムに回帰するのは何かにすがろうとする試みだ」とも主張します。以前、ブログでわたしは、同じフランス人の経済学者のピケッティ氏が「社会的格差が広がっている」ことを歴史的、実証的に分析した著書のことを紹介しました。やはり社会格差、失業、希望の喪失などが背景にあるのですね。
日本は戦争責任を国際社会から過剰に問われています。大きな流れで考えれば、フランスを含む欧州諸国はかつて多くの植民地を持ち、その旧植民地からの移民が流入し、今回のテロを起したという構図でもあります。植民地時代からの遺産と、現代における社会的格差の拡大が折り重なっているという面はないのでしょうか。事件を契機に近現代史をふりかえることもしなければなりません。(つづく)
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