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2015-01-16 00:00
(連載2)異次元緩和が支える予算の実像
中村 仁
元全国紙記者
国債(10年物)の金利は最近、0.3%で、過去最低の水準です。異次元の金融緩和でゼロ金利の状態に近く、財務省は国債費の負担が少なくて助かっています。それでも過去に発行した国債の金利はそれなりに高く、その結果、約10兆円の利払い費になっているのです。超低金利で国債が新規に発行されるたびに、低い利子に変わります。一方で毎年3、40兆円も発行残高がふえていきますので、利払い費は結局、10兆円の水準が続いています。
異次元緩和はデフレからの脱却が最大の目的になっています。ゼロに近い金利で民間が資金を調達できれば、株や資産価格が上がり、儲かった人は景気がよくなったと思うでしょう。ゼロ金利の資金を設備投資や企業買収の資金に使えば、経済全体を好循環に導くきっかけになります。さまざまな効果があるにせよ、もっとも即効性があったのは、財政支援でしょうね。ここに異次元緩和の大きな狙いがあるとするエコノミストの声が最近、よく聞かれるようになりました。
ただで済む経済政策はないということです。その費用、コストは今は表面化していないということにすぎません。将来、計算通りに景気が好転して、物価が上がり、金利も上がるときに、コストが始めて表面に現れてきます。金利が2%になると、利払い費は今の倍の20兆円、4%になると、40兆円にのぼるという試算をするエコノミストがいます。こうなると、いくら消費税をあげても、社会保障費にまわすどころか、財政そのものが破綻しかねないと、かれらは警告します。
財政状況は危ういバランスの上にあるということでしょうか。歳出の抑制と税収入の拡充で、とにかく国債の増加に歯止めをかけつつ、その間、マネー市場が反乱を起さないように、細心の注意を払いつつ、財政と金融の舵取りを進めるということでしょうか。(おわり)
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