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2014-12-17 00:00
(連載2)衆院選は自公の「大勝」「圧勝」なのか
尾形 宣夫
ジャーナリスト
自民党が単独で国会運営を主導できる「絶対安定多数」(266)を上回ったから「大勝」なのか、あるいは定数削減の下で自公で衆院定数の3分の2超だから「圧勝」なのか。総選挙の勝敗ラインについて安倍首相は11月18日の解散会見で「与党で過半数」と明言したが自民党内が収まらず、とうとう自公幹事長会談で「270議席以上」と上方修正した。当選ラインの低位設定が与党内だけでなく、マスコミを戸惑わせたことは間違いない。「過半数」「270以上」が1つの目安となって選挙戦が進み、最終的に与党で326議席、定数の3分の2超を確保したから、何の疑問もなく「大勝」「圧勝」になったのだろうか。
政権に近い読売や産経が「圧勝」と大見出しを立てるのは分かるが、政権批判の先鋒(せんぽう)の朝日が「大勝」とは分からない。本記、関連記事、社説も「大勝」とするが、「どう大勝だったのか」が書かれていない。読売、産経も「圧勝」の中身に触れていない。これでは一般読者には不親切だし、分かりようがない。
各紙とも第3次安倍政権の課題を列挙した。多数のおごりを戒める論調も同じだ。しかし、得票数と議席数の不釣り合いな現行選挙制度の矛盾が表れたことを指摘したのは東京新聞の社説(15日付)だ。社説は「与党の得票率が40%程度だとしても、全有権者数に占める得票率の割合『絶対的得票率』は30%に満たない。それが選挙制度だと言ってしまえば、それまでだが、安倍政権の側はまず、全有権者の3割に満たない支持しか得られていないことを自覚しなければならない」と指摘した。
北海道新聞の集計でも自民党は小選挙区で全有権者の24・5%の得票で、295席の75・3%を獲得したという。道新は16日付の社説で「得票率が過去最低に下がった上に投票先が民主党、維新の党、共産党などに分散。結果的に自民党が一定の支持で大勝につなげたことがうかがえる」と述べている。自民党は2012年の前回の衆院選でも絶対得票率24・7%で300議席の79%を獲得している。今度の選挙も全く同じだった。一部の大手紙が報じた「大勝」「圧勝」の実体を突くことがマスコミの責務なのではないのか。新聞の活字は記録として残る。垂れ流しのテレビ電波とは根本的に違う。(おわり)
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