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2014-12-16 00:00
(連載1)衆院選は自公の「大勝」「圧勝」なのか
尾形 宣夫
ジャーナリスト
衆院選に決着がついた。政権与党の自民、公明は定数の3分の2を超える326議席を占め、自民単独でも291議席を確保した。議員定数削減で前回より5議席減の中での投票結果である。安倍政権は過半数を占める参院とあわせ、極めて強い権力基盤を再び手にしたことになる。もはや、法案審議で野党がどんなに抵抗しようが何も恐れるものはない。国論を2分するような内政、外交問題でも「安倍政治」はフル回転するだろう。安倍首相の満面の笑みがそれを表している。
自民、公明両党の勝利を伝える中央各紙の大見出しは朝日「自公大勝 3分の2維持」、毎日「自民微減 291議席」、東京が「自公3分の2維持」、日経が「自公勝利 3分の2維持」だったのに対し、読売は「自公が圧勝 325超 民主伸び悩み、維新苦戦」、産経が「自公3分の2超 圧勝」、NHKも「圧勝」だった。いかにも安倍政権との「距離感」がにじむ見出しだが、獲得議席数から見れば、自公は必ずしも見出しが躍るような大勝利を遂げたわけではない。自民は比例区こそ68議席と増やしたが、合計では公示前より2議席減らした。公明は組織力を発揮、同4議席増の35議席だった。野党だけでなく国民も虚を突かれるような解散だったから、政権もある程度の議席減は覚悟していたはずだ。ところが野党は、大躍進の共産党を除くと選挙態勢づくりの遅れと戦術のまずさもあって伸び悩むどころか惨敗の憂き目に。それも事前の世論調査で大方予想されており、ふたを開けたらそのとおりだっただけの話である。大手紙が「大勝」とか、ましてや「圧勝」などとはやし立てるような結果ではない。
確かに開票が進むにつれて当選者の名前についた赤い花がズラリと並ぶ自民党本部の光景をテレビで見たり、テレビ画面に大写しにする日本列島の各党当選者の色分けを見せられたりすると、自民の「大勝」を思わざるをえない。アナウンサーもコメンテイターも納得顔で自民勝利の背景を解説する。
だが投票率は52・66%で、戦後最低だった前回12年を7ポイント近くも下回った。有権者の半数近い人たちが投票所に行かなかったのである。異常な投票率と言っていいだろう。例年にないような大雪に見舞われたことや投票所が集約されたことなどもあるが、野党だけでなく国民も虚を突かれるような解散だったから、戸惑う有権者だけでなく、ただでさえ政治不信を募らせる人たちのせめてもの抵抗だったと見ることもできる。燃えない選挙戦、白けた有権者の反応は選挙前から明らかだった。有権者の「棄権」をどう見るのか。私が知る限り、それを真正面から論じた紙面はない。アベノミクス解散の策に気付きながら本質を問わず、「アベノミクスの是非」の線路上を走る政権のシナリオどおりに報道が進んだに過ぎない。(つづく)
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