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2014-12-10 00:00
(連載2)麻生発言「子どもを産まないのが問題」の意味
中村 仁
元全国紙記者
単純にいうと、中絶がこれほど多くなければ、「自然減」をゼロにすることもできるし、出生数を何十%も引き上げることができます。人口減少、少子化を日本の運命のようにあきらめるのではなく、生まれてくるべき生命を生まれてくるようにする環境作りにこそ、国の政策として取り組むべきでしょう。日本は世界で有数の中絶国です。人道的問題、倫理的問題の解決にもなります。生まれてくるべき生命がそもそも少ないというのではないのです。
「なぜ40万人もの中絶が行われているのか」で、さまざまな意見があります。母体の健康、未成年の妊娠、深刻な経済問題など、中絶が不可避なケースもあるでしょう。その一方で「優生保護法の改正で経済的理由が認められて以来、経済的理由が安易に拡大解釈されている」、「教育費がかさみ、子供を育てにくくなっている」、「保育所、託児所が不足し、産みたくても産めない」、「女性が働きながら子育てをするのが容易ではない社会構造になっている」など、多くの理由があるでしょうね。
育児行政、保育行政の充実で、この問題を解決していく手段はたくさんあるはずです。安倍政権は女性の地位向上、働く女性への支援策を重点公約として打ち出しています。首相は「2年間で20万人分、5年間で40万人分の保育の受け皿を作る」と街頭演説で述べたそうです。先ほどのデータとどこか符号する部分もあります。ぜひ実現して欲しいですね。中絶が行われる一方で、妊娠を望みながらそれがかなえられない夫婦も多いはずです。新生児の養子縁組を社会的に支援することもできるはずです。
麻生副首相の失言は、政治家としての資格が疑われる話です。善意に解釈して、中絶の抑制、保育行政の充実を進めなければならないと考えているというのならば、重大かつ解決可能な問題を提起しているということになりますね。(おわり)
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