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2006-12-30 00:00
連載投稿(2)対中包囲網を形成せよ
太田 健一
大学生
日本は、日米同盟を基本にして、台湾、シンガポール、インド、モンゴル、ネパールなどのアジア諸国とオーストラリアを含んだ巨大包囲網を作り、中国を封じ込めるべきである。それが、日本にとって、最低限の出費で、尚かつ同盟国の支持を得て、リスクを分担できる方法である。この戦略を実現し、成功するには2年以内のタイムリミットがある事を理解しなければならない。この構想上最も重要な国アメリカの対中政策が2年後には大きく変わる可能性が大いに有るからだ。ブッシュ政権は今のところ中国に対して厳しいシビアな政策を取り続けているが、残すところ後2年で任期がきれ、2年後には大統領選が有り、もし民主党が次期大統領選に勝てば、アメリカの対中政策は180度変わる可能性が有るからだ。
ビル・クリントン前大統領は中国を米国の「戦略的パートナー」と考え、対日政策は国務省の官僚に丸投げし、御自身は中国に完全に目を向けていた。しかしブッシュ大統領はこの考えに真っ向から反対してきた。ブッシュ大統領を始め多くの共和党議員達は、中国が彼らの最も嫌う三原則を平然と犯している事に心底激怒している。それらは(1)知的財産権等の個人の権利を無視するアンフェアな行動であり、(2)アメリカン・スピリットとも言える自由競争主義を否定する閉鎖的社会であり、(3)世界秩序である。最近の中国の行動を見ると、あまりにも己の目先の利益だけを考えている事は明白だ。この三原則は、アメリカその物であり、これらを破るという事は特に共和党には許されない事なのだ。
だからこそ、第一次ブッシュ政権は対中強硬派を次々に主要ポストに任命してきた。ロバート・ゼーリックを通商代表と国務副長官に、ヘンリー・ポールソンを財務長官に、デニス・ワイルダーをNSCアジア上級部長にだ。ゼーリックは中国と台湾をWTOに加盟させ、新たなオープン・マーケットへの道を開き、ポールソンはゴールドマン・サックス時代から中国に関心を持ち中国語も話せる。ワイルダーはCIAの中国アナリストだった。最後に、クリントンの日本軽視の背後には外交戦における日本の敗北が有る。クリントンがアーカンソー州知事時代に来日した時、まだ無名だったクリントンを日本の政治家達は見下し、面会しなかった。この事はクリントン夫妻の脳裏に深く焼き付き、その直後に訪れた中国での歓迎ぶりにクリントン夫妻は心から感謝しているらしい。中国政府は、クリントンを未来のアメリカのリーダーと判断し、先物買いをしていたのである。(つづく)
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