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2014-12-06 00:00
(連載2)円安激進、アベノミクスの副作用
中村 仁
元全国紙記者
日銀に対して「2%原理主義」との批判がなされるようになりました。「デフレ脱却の証としての2%」を何がなんでも達成することに意義はあるのか、という批判です。実際の物価上昇率は1%程度に低下してしまい、日銀は焦り、「追加緩和も」とささやいています。そこに120円という円安です。みかけだけ「2%」に近づいても、中身のない政策的な手詰まり状態ということになります。円安を促進しかねない「追加緩和」そのものも難しくなりました。
米国は景気が好転し、大規模緩和に区切りをつけ、いずれ金利引き上げに転換するようです。日米の金利差が広がり、円安・ドル高要因になります。円安が海外要因でも進み、国内対策には打つ手に限界がある、その一方で「日本の円安は為替誘導で問題だ」との批判が強まる恐れがあります。これも政策的な手詰まりを意味します。
アベノミクスの第一の主役は異次元緩和、第二の主役は財政出動(2度にわたる巨額の補正予算)です。財政政策は壁にぶつかっています。消費増税を先送りしたのですから、歳出の増加策はとれず、手詰まりです。安倍政権が「デフレからの脱却が始まっている。株高も進んでいる」といっても、金融緩和と財政に支えられた特効薬的な結果です。経済の好循環の結果としての株高、デフレ脱却とはいえない段階です。第三の主役になるべき成長戦略は時間がかかり、その間のつなぎ役である金融、財政が息切れしては先が思いやられます。
「アベノミクスへの信を問う」の本当の意味は、こうした政策的な手詰まりが生じた場合、どういう手をうつ用意があるかを示すことにあると思います。消費増税の先送りの先に控えている財政再建策(社会保障の削減など)、限界にぶつかりつつある異次元緩和からの撤退計画(いわゆる出口戦略)を示し、有権者の覚悟を求めるべきなのです。経済の好循環(かなりの好景気)にいたっていないのに、金融緩和からの撤退に迫られれば、株高は崩壊しかねません。ゼロ金利で大量に放出されている円を調達して、円安・ドル買いに回している海外投資家も多いことでしょう。日本のためによかれと思った政策が、日本を困らせる結果を招いている面もあります。ボーダレス時代における国内金融政策の限界が表面化していますね。(おわり)
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