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2014-11-25 00:00
(連載1)「安倍政治」を総括する総選挙に
尾形 宣夫
ジャーナリスト
安倍首相は「アベノミクス解散」と名付けた。誠に奇異なことである。多くの国民も「オヤッ」と思ったのではないか。解散は国政の行方だけでなく、国民生活にも関わりが深い。だから、その時の政治・社会状況や国民の思いなどを込めて、最もふさわしい名称がつくものだ。解散を宣言した本人が会見して自ら解散を命名するなど、聞いたこともない。首相は消費増税を1年半先送りした。「景気の腰折れを防ぎ国民生活を守るためだ」と言ったが、国民のどれだけがこの言葉を信じているか疑わしい。国民総生産(GDP)が2期連続でマイナスとなり、安倍政権の錦の御旗のアベノミクスに陰りが明らかになった。首相は解散を表明した18日の会見では、一言も「アベノミクス」を口にしていない。「税制は議会制民主主義の基本」と言い、増税先送りは「国民生活、国民経済にとって重い決断だ」と解散の理由を盛んに強調していた。
当の首相が自ら「アベノミクス解散」と言い出した胸の内を推し量れば、「大義なき解散」などと野党ががなり立てただけでなく与党内にも異論があったからだろう。マスコミもこぞってアベノミクスの迷走を書きたてて争点に仕立て上げたため、負けん気の強い首相が我慢ならず〝ケンカ〟を買って出たのだと私は思う。選挙は所詮(しょせん)、戦いなのだから。
アベノミクスは安倍政権の生命線である。景気の好循環を実現して成長の果実を国民に分け与える。そうすれば、先進国最悪の財政再建も併せて可能になる。21日の首相の解散会見は持論をまくし立てたが、首相の口から財政再建の言葉は出なかった。消費増税を予定どおり実施、財政再建の道を開こうとする財務省をねじ伏せ、日銀の追加金融緩和のはしごも外す解散だった。財務省のせめてもの抵抗は2017年4月の消費税10%引き上げ時の「景気条項」を外させたことだろう。10月末の追加金融緩和で消費増税の後押しをしたはずの日銀の黒田東彦総裁は、19日の金融政策決定会合の後の記者会見で「財政規律は極めて重要で、守っていくことを期待する」と語った。政権に消費増税のはしごを外された無念の意思が込められている。
消費増税の先送りは財政再建のスケジュールをその分だけ先に延ばすことになる。故に、解散には「大義」があると財務省OBの識者は強調、「大義なき解散」とこき下ろす野党やマスコミを批判する。確かに、財政再建は政治的に先送りされてきた。不人気な増税に目をつぶって民意を問うこともなく財政再建計画を置き去りにしてきた結果が、先進国最悪の1,000兆円もの借金財政にしてしまったのである。(つづく)
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