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2014-11-14 00:00
(連載2)不評の「何のため解散」
中村 仁
元全国紙記者
「解散は何のため」というか「何のため解散」、「国民不在の解散」、「消費税断念解散」など、様々な酷評が聞かれます。「消費増税はGDP(経済成長率)の速報(11月17日)、さらに確定値(12月8日)を見て判断する」、「有識者会合(11月17日まで5回)の意見を聞いて決める」を首相、官房長官はそうくりかえしながら、それに先立って、早々と消費増税の先送りのハラを固め、解散・総選挙の流れを決めてしまったのですからね。解散・総選挙をカモフラージュするためだったとすると、意地がわるいというより、信義違反ですね。引き続き、白々しいウソが流されています。「消費増税の先送りの是非を選挙で有権者に問う」などは、「論理的におかしい」と、こともあろうに、首相が属する町村派の町村会長が批判しています。そうでしょうね。「これからの増税の是非を問う」ならともかく、増税を先送りした後に「その是非を問う」なんておかしな話です。本音ではありません。
「消費増税の先送り」は、まず解散戦術が先にあり、その支援材料にするためと考えたほうがよさそうです。政治資金問題でつまずいた小渕経産相が当初、自民党幹事長の候補にあがっていたのは、解散・総選挙向けであったに違いないでしょう。女性2閣僚に辞表を早々に出させたのは、そのころから解散戦術をねっていたのかもしれません。アベノミクス(経済政策)の成果がこれからという時の解散は、2、3年では約束の成果を生み出せないという判断によるのかもしれません。政権は政策的なインフレを起し、過激な円安を許容し、資産格差を生むであろう株高を進めています。こうした経済、景気政策でデフレ脱却にたどりつくというシナリオに自信を失いはじめているのでしょうか。それなら批判が高まる前に解散をしてみようということでしょうか。ともかく、疑問が一杯ある解散です。すくなくとも自民党の実力者は安倍首相に反対意見をいうとか、注文をつけるとか、厳しい態度で臨むべきでしょう。
新聞論調では、読売社説が「重要政策を遂行するための推進力を手に入れようとする狙いは十分に理解できる。支持率が高いうちに解散を断行して局面を打開し、新たな民意を得るのは有力な選択肢だ」(12日)と、書きました。「局面を打開」が必要なほど現状が手詰まりとは思えません。安倍政権との一体感が強いと、目が曇り、メディアとして中立的な判断ができなくなる恐れがあります。解散報道では、読売が独走してきたことも気にかかります。日経は社説で「何を問う解散なのか明確にせよ」との見出しで、「衆参両院で多数を占め、党内抗争もない政治状況のもとでの早期解散はかなり異例だ」と、的確に問題を指摘しています。
有権者がしらけて投票率が下がったりしないよう願うばかりです。野党は選挙準備で立ち遅れているものの、自民党が減らす議席が自分のところに回ってくることを期待しているのでしょうか。デフレを脱却できたといえない状況での早期解散により、国民が政治への関心を失ってしまわないよう願うばかりです。(おわり)
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