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2014-11-11 00:00
尖閣についての正しい立ち位置
津守 滋
東洋英和女学院大学名誉教授
大騒ぎになっていた日中首脳会談は、11月10日行われた。会談冒頭の映像を見て、日本人であれば、誰もが愉快な気持ちにはならなかったであろう。習主席の態度は、ぶっきらぼうであるというよりも、客を待たせるなどホストとして非礼でもあった。とはいえとにかく会談が実現したことで、日中関係が今後正常化に向けて動き出すのであれば、ここではあえて問題にすまい。ただ先行き容易でないことを暗示するシーンではあったが。
事前に発表された合意文書は、日中関係の現状を踏まえたおおむね妥当な内容である。双方の事務当局の苦心の跡がうかがえる。
ここでは尖閣についての合意を取り上げたい。この合意内容は、2か月ほど前に筆者が本論壇で主張したような結果になった。①「尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていること」として、「尖閣の領有権」を明記していないが、「異なる見解を有している」の対象に領有権問題が含まれていることは否定できまい。「領有権問題は含まれていない」として同床異夢を主張するのは無理であるし、その必要もない。②しかし日本政府の領有権についてのこれまでの立場(「尖閣諸島は歴史的にも国際法的にも日本の領土であり、領有権問題は存在しない」)は、変える必要は毛頭ない。③「対話と協議」の対象には、領有権問題も含まれうる。つまり中国側が議論したいというのであれば、堂々と議論に応じ上記②の立場を主張すればよい。④決着がつかなければ、ICJの判断を仰げばよい。現状では中国側が乗ってこまいが。
なおいわゆる「棚上げ論」に日本が同意(「暗黙の了解」を含め)したかどうか議論になっているが、その議論は不毛である。日本政府は、領有権についての基本的立場(上記②)を一貫して堅持しておればよく、中国側がこれを理解できないのであれば、半永久的ないし永久的に両者の立場は平行線をたどるだけで、結果的には棚上げ論と同様の効果を生もう。それで日本側が失うものは何もない。
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