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2014-11-08 00:00
(連載1)消費増税の異常な難しさ
中村 仁
元全国紙記者
消費再増税の賛否について有識者から意見を聞く会合が始まり、一ヶ月後には安倍政権は結論を出しているでしょう。安倍首相は再増税を先送りしたいとの観測がしきりです。ここで考えるべき本質的な問題は、「政局が消費税を決める」という表面的なことではなく、引き上げの異常な難しさがはっきりしてきたことです。日本の政治、経済状況からみると、どうにか税率10%にたどりつけてもそこで息切れし、20%はおろか、「いずれは欧州並みの25%以上へ」という政府のシナリオはとても無理だと思います。消費税に期待をかけている財政赤字脱却計画は、全面的な練り直しに迫られるでしょう。
もちろん、通算5回の有識者会合では6、7割の人が再増税の必要性を唱えることとなりましょう。日銀の黒田総裁も再増税を後押ししたいかのような気持ちも込め、デフレ脱却へ向けて金融の追加緩和に踏み切り、株価は急上昇しました。ですから中長期的な視野を優先し、財政再建、社会保障財源の確保のために、予定通りに10%への再増税に踏み切る選択肢もありえます。初日に登場した経済学者で、内閣官房参与の浜田宏一、最終回に登場する本田悦郎氏らは再増税の反対派で、いわば官邸の別動隊です。特異な立場のかれらを除くと、再増税派の学者、識者は過半数を超えます。中長期的な視点から、将来にわたる財政状況の悪さを心配しているのです。
にわかに解散風も吹き出しました。「消費税は政局問題で、再増税は選挙や支持率にもろに影響する」と、「政局論」を唱えるひともいます。選挙で消費税にこりた首相は多く、長期政権を目指す安倍首相も危ない橋を渡りたくないようです。問題の本質は、その「政局論」ではありません。4月以降の流れをみていると、最終的には25%以上の税率も想定される消費税引き上げについて、「この段階でもたついているようでは、将来はもっと心配だ」、「日本の経済力は消費税引き上げを飲み込む体力を失っている」、「税率を上げると景気が悪化し、政治的にも不評を買う」という問いを突きつけられていると感じます。ではどうするのか。この問いに、政治、経済、財政・社会保障財源の面からどいう答えを出していくかこそが重大な問題だと思います。
長期政権もありうる安部政権の登場、「決められない政治」といわれた「ねじれ」の解消、金融の異次元緩和に大胆に踏み込む黒田日銀総裁の登場というめったにない組み合わせをもってしても、消費税増税はこれほど難航しているのです。安倍政権、黒田体制がいずれ弱体化したらどうなるのでしょうか。いずれそうなります。ますます政治は消費増税に及び腰なるでしょう。(つづく)
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