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2014-11-07 00:00
(連載2)終身大統領への夢
緒方林太郎
前衆議院議員
私は1998年に、ブルキナ・ファソで行われたアフリカ連合総会の際、同国に行ったことがあります。当時、コンパオレ大統領は比較的若い、新しいアフリカを体現する大統領でした。とても輝いていたのを覚えています。その後、大統領府付きの運転手殺害事件を取材していたノルベール・ゾンゴというジャーナリストが(恐らく大統領関係者によって)暗殺されたことで、一度ブルキナ・ファソ内政は混乱に陥りますが、今回の反憲法改正デモはゾンゴ事件以来の危機です。
アフリカ政治に典型的な事が、このコンパオレ大統領には幾つかあります。一つは「長老政治」、アフリカでは年長者を敬うという文化が結構強いです。そして、大統領としての年数が上がってくると、次第に内戦等での調停役が回ってきます。(紛争中の)他国の後輩大統領に「程々にしとけ」と言う役割です。内政的には如何なものかと思う上記のトーゴーのエヤデマ、ガボンのボンゴも国際的にはそういう役割を果たしていました。そして、これが結構機能しますし、欧米からするとそういう存在がありがたいものです。そういう意味で、コンパオレ大統領は国際的には典型的な「寵児」です。もう一つは「終身大統領への夢」です。今回の憲法改正、明らかに大統領及びそれに群がる周辺が企図したものですけど、こういう再選可能な期数を延長する憲法改正は結構多いのです。ちょっと調べただけでも、アルジェリア、チャド、カメルーン、トーゴー、ガボン、赤道ギニア、ウガンダ、ジブチといった国で取られた手法です。来年から再来年にかけて、アフリカでは大統領選挙が20近くの国で行われる予定で、既にコンゴ共和国、ブルンジ、コンゴ民主共和国、ベナンで同種の憲法改正が企図されています。
私がいつも思うのは、これは形式的な民主主義としては手続き論的にもパーフェクトです。しかし、国としてのガヴァナンスとしては問題が多いです。こういうガヴァナンス不足について日本はどう考えるのかということです。中国のように完全に内政不干渉というのも一つのやり方です(中国は内政不干渉を前提にどんな国とでも仲良くお付き合いします。それがアフリカでは結構気に入られていたりします)。逆に一番厳しいのは、この手の政治情勢を援助供与の際のコンディショナリティーとして含めていくというものです。
このアフリカに少しずつ広がりつつある「終身大統領への夢」、私なりの解決策は「退任後、任期中の色々な事について絶対に糾弾しないからもう辞めて」と言ってあげることだと思います。究極の所、「殺さないし、財産も取り上げたりしないから辞めて」ということです。倫理的にどうかと思う所もあるのですけど、それくらいしないと辞めてくれないのです。そして、今回のブルキナ・ファソのように内政不安定になっていくおそれもあります。どちらを取るかということです。そうやって考えていくと、きちんと憲法で決まった期数が終わったら辞めそうな、タンザニアの名君キクウェテ大統領とか、なんだかんだでクーデターなく建国以来やってきているセネガル(サル大統領)というのは、とてもまともなんだよなと改めて思います。あと、私は南部アフリカは詳しくありませんが、アフリカの民主主義のモデルとも言われるボツワナ(カーマ大統領)なんてのも良いですね。こういう国は大事にしなくてはなりません。(おわり)
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