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2014-11-06 00:00
(連載1)終身大統領への夢
緒方林太郎
前衆議院議員
西アフリカのブルキナ・ファソという国が揺れています。少し高齢の方なら「オート・ボルタ(ボルタ川上流)」という国の名前で知っている方もおられると思います。ブルキナ・ファソというのは現地語で「高潔な人」という意味でして、形容詞形は「burkinabe(ブルキナベ)」。よく某主要国大使が「君達はフランス語研修だったな、ブルキナ・ファソの形容詞形を知っているか?」とクイズに使っていました(私だけが知っていて褒められました)。貧しい国です。大した産業はありません。ただ、ブルキナ・ファソ人は黙々と働く印象があります。私はアフリカ在勤時、よく「海辺から内陸に行けば行くほど、国民が黙々と働く。」というテーゼを掲げていました。海沿いのセネガルから、マリ、ブルキナ・ファソと内陸に入っていくと、たしかに「おしゃべり」の量が減っていきます。ブルキナ・ファソ人曰く、「(もっと内陸の)ニジェール人はもっと黙々と働く」そうです。そのせいか、労働力として国外に出ていく人が多く、コート・ジボアールのカカオ栽培農園ではブルキナ・ファソ人がとても活躍しています(コート・ジボアールでは内政問題になっています)。
大統領はブレーズ・コンパオレ。1987年、それまで大統領を務めていた盟友トマス・サンカラの暗殺後、大統領になります。トマス・サンカラは独裁色が強く、かつ過度の社会主義に傾倒したことから、当初は国民的人気がありましたが、最終的には上手く行かなくなり、暗殺されます。この暗殺に、盟友コンパオレが関与したかどうかはよく分かっていないのですけど、多分関与していたと思います。1991年に大統領に選出され、7年の任期を2期務めます。2期目の2000年には、大統領の任期を5年とし、最長2期までという憲法改正をしますが、この改正について「過去に遡及せず」という解釈を持ち出し、2005年に再度大統領選挙に出て、更に2期務めて現在に至ります。来年が選挙です。
今回、揺れているのは、再度憲法改正の動きをしていて、「最長2期」を「最長3期」とした上で、更には「過去に遡及せず」を持ち出していることです。つまり、あと15年(5年×3期)やれるような憲法改正だということでして、さすがにこれに対しては「終身大統領にでもなる気か」と、首都ワガドゥグで大規模なデモが連日行われており、治安部隊と衝突が続いています。さすがに1987年から2015年まで28年の統治で、今後更に15年となると43年となります。アフリカでも、私が記憶する限り、40年を超えたのはトーゴーの故エヤデマ大統領、ガボンの故ボンゴ大統領くらいです(王政のモロッコの故ハッサン2世もありますが、同国王はさすがに別枠でしょう)。ここまで来ると、国民的には「いい加減にしろ」という思いが出てきてもおかしくはありません。
一方で、コンパオレ大統領は国際社会的には「寵児」的な所もあります。リビアのカッザーフィー大佐、リベリアのチャールズ・テイラー大統領といった独裁者との関係の深さはありましたが、一方で最近ではアフリカの諸紛争の調停役を買って出たりしていて、欧米からすると「寵児」なのです。コート・ジボアール内戦では、(当時のバボ大統領と対立していた)現ウアタラ大統領(母がブルキナ・ファソ人)を物心共に徹底的に支え、国際的に人気のなかったバボ大統領を放逐するのに一役買ったのも、国際社会的にはポイントになっています。(つづく)
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