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2014-11-04 00:00
(連載2)黒田日銀総裁の大冒険の旅
中村 仁
元全国紙記者
その景気回復の手法は、株価、土地などの資産価格を引き上げるバブルを重視しているようです。異次元緩和で最も顕著な反応を起したのは株高、不動産価格の上昇です。低金利、金融緩和でじっくりと景気回復を図るより、このほうが手っ取り早いのです。今回の追加緩和の直後、株が700円以上も上がりました。資産家、株式保有者はめでたし、めでたしです。企業も自分の株価があがり、経営者は満足しています。株高が景気、経済全体にプラスの波及効果を生みだすには、時間がかかります。
今回の追加緩和で、日銀国債保有残高をさらに毎年30兆円(これまでは50兆円)ずつ増やし、80兆円とすることにしました。来年末には日銀が保有する国債は350兆円となり、経済規模がまるで違う米国の中央銀行(連邦準備理事会)の450兆円に迫ります。政府が国債をどんどん発行しても、日銀が7割を買うよう仕向けているのです。これでは、政府は安心して国債を発行し、財政規律が緩みます。実質的に日銀による国債引き受けに相当し、伝統的な政策では禁じ手にされてきました。国債を出しすぎて、いつか相場が下落したら、その損失は日銀がかぶります。
黒田総裁の大冒険は、短期的には即効性を感じられても、よほど景気、経済の好循環に入っていかないと、中長期的には、重大な問題をはらんでいくのです。好循環に入り、心配されている懸念が払拭されていく可能性はあるかもしれません。そこに至らない可能性もあります。金融政策決定会合(投票者9人)で4人もの政策委員が反対票を投じるという異例の展開となったのは、そこをおそれているからでしょう。海外からは、歓迎する声と、デフレ対策が金融政策に傾斜しすぎているとの懸念の声が両方、聞かれます。
重大な懸念があるにもかかわらず、大冒険を安倍政権、マネー市場の大勢が歓迎しているのは、財政・税制と違い、金融緩和のコストが目に見えにくいからです。後になってから分るのです。借金でガソリンを満タンにして、アクセルをふかすのと似ています。ガソリン代は後ほど、回収させてもらうということです。「とにかく行っておいで」なのです。異次元の金融緩和は「行きはよいよい、帰りはこわい」なのです。(おわり)
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